
「物がない、答えがない営業をどう教えるか」── これは、"決まった商品の型がない商材"を扱う業界に身を置く経営層・店長層なら、誰もが一度は突き当たってきた問いではないでしょうか。住宅・外構、不動産、保険、人材、コンサルティング、SaaS、広告――商材の形は違っても、お客様ごとに条件が変わり、提案の幅が広く、"正解"が一つに定まらないという共通の難しさがあります。そのなかで、若手にどう型を伝え、組織として一定の品質を担保していくか――。
なかでも外構・エクステリア業界は、新築・リフォーム、ハウスメーカーの仕様、デザインの好み、植栽、現地の条件など複合的な要素が絡み合い、この難しさが色濃く表れる領域です。南九州で外構の専門店として48期目を迎える株式会社サン・ホームも、6店舗・約20名の体制を率いる中で、トップセールスが無意識に積み上げてきた営業手法を、他店舗・若手に再現できないという壁にぶつかっていました。Front Agent の導入により、トップセールス自身も気づいていなかった"無意識の型"をデータで可視化。前期通算で2,700万円だった受注額は、今期は5月時点(期中)で既に3,000万円を突破し、前期実績比 約130% に到達。新築外構の成約率は25%から87.5%へと約3.5倍に向上し、個人では年間契約額1億円を突破するメンバーも生まれた取り組みについて、鹿児島エリアマネージャー・トップセールスの村橋 大輔氏に伺いました。

企業名 | 株式会社サン・ホーム(ガーデン光房ブランド) |
|---|---|
業種 | 外構・エクステリア/造園 |
導入サービス | Front Agent(Salesforce 連携) |
課題 | トップセールスの営業手法が無意識のまま属人化し、若手・他店舗に再現できない。Salesforce で案件・進捗管理はできても、「お客様の生の声」「営業の話し方」までは取れていなかった。 |
成果 | 新築外構の成約率 25% → 87.5%(+62.5pt、約3.5倍)/個人別では年間契約額1億円突破のメンバーも輩出 受注額:前期通算 2,700万円に対し、今期は 5月時点(期中)で既に 3,000万円を突破(前期実績比 約130%) |
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株式会社サン・ホームは、昭和53年に宮崎で外構の専門店として創業。今期で48期目を迎える、南九州を代表する外構・エクステリア企業です。10年前に鹿児島へ進出し、現在は宮崎・鹿児島で6店舗を展開。南九州における売上・シェアではトップクラスを占めています。
特徴的なのは、若手・女性スタッフの多さです。新卒・中途を含めて若いメンバーが多く活躍し、お客様との会話を中心とした提案型の営業スタイルを築いてきました。しかし、その若い人材を早期に戦力化することこそが、長年の課題でもありました。
「外構エクステリアの営業は、本当にやることが多いんです。インスタなどの普及もあって、お客様も以前より"こだわりを持つ"ようになってきました。"かっこよくしたい"という気持ちが広まっている中で、競合もいる。そこでどう役に立てるかを考えると、商談は決して簡単ではないんです」(村橋氏)
知識は広く浅く、ときには深く求められる。お客様の予算・デザインの好み・ハウスメーカーの仕様など、複合的な要素が絡む。さらに外構という商材は、新築の場合は家を建てたあとに必ず必要になるため、ある意味でルーティン化できる部分もある一方で、「物がない、答えがない営業」でもあります。
「ない物を売る仕事ですから、ある程度やることは決まってくる。"こうやればいいよ"というコツを若手に伝えたいのですが、なかなかそれがうまくできずに歯がゆさを感じていました」(村橋氏)
数字が安定しない若手は離職につながる。ベテラン社員でも成約率8割には届かない。営業書籍を読み込み、社内でロープレも試みてきました。それでもなかなか定着しない――その背景には、現場ならではの2つの壁がありました。
「ロープレは"やるべき"だと分かっているんです。私自身も自分の店舗ではしなさいと言ってきましたし、実際にやっていた時期もあります。著名な営業書籍の中でも"ロープレの時間をきっちり作ってやりましょう"と書かれていて、その必要性は当然理解しているんです。でも、なんせ時間がなさすぎる。お客様対応・プラン作成・現場確認まで一人が担う中で、ロープレの時間を継続的に確保すること自体が難しいんです」(村橋氏)
仮に時間を捻出できたとしても、もうひとつの壁が立ちはだかります。
「そもそも"これが正解だ"と言い切れる人が、店長クラスを含めても、これまでほとんどいなかったんです。"答えがない"と分かっている商材で、ロープレの相手役・見本役を誰が務めるのか、という問題が常につきまとっていました」(村橋氏)
外部の業界コンサルタント・デザイン研修なども約15年にわたり継続的に受け入れてきた。しかしそれは「デザイン性」や「お客様との会話姿勢」が中心で、「営業で具体的にどう話すか」というポイントに踏み込んだ見本は、これまで存在しなかったのです。
「商品もたくさん出てきて、業界全体としても飽和状態に近づいている感覚がありました。その中で、何かしら営業の"形"を残せるものがほしいと、ずっと思っていたんです」(村橋氏)
転機となったのは、サン・ホーム経営陣がオンラインで偶然出会ったコンテンツでした。
「経営陣のひとりがYouTubeなどでUmee Technologies代表の話を聞いて、"こんなサービスがあるよ"と私のところに持ってきてくれました。それで、一度話を聞いてみることになったんです」(村橋氏)
サン・ホームでは Salesforce を顧客管理・数字管理ツールとして活用してきましたが、案件管理・進捗管理はできても、「お客様の生の声」「営業の話し方」までは取れていない状態でした。営業会議では商談の振り返りを Salesforce Chatter で共有する試みもありましたが、商談直後に書き起こす作業負荷が大きく定着しなかった経緯があります。
決め手は、単なる議事録ツールではなく、営業のパターンを「形」として残せる仕組みだったこと。Salesforce との連携によって、商談直後にわざわざ書き起こさなくても、取引先・商談ページから議事録・要約に直接アクセスできる業務動線が組めることも大きなポイントでした。
「商談を文字で打ち込むのは大変です。Front Agent なら Salesforce 側に自動で連携されて、わざわざ書き起こさなくても要点を見に行ける。この動線が、現場で使い続けられる仕組みとして大切でした」(村橋氏)

村橋氏は、自分の商談を Front Agent で分析にかけたとき、自分自身が無意識に多用していた言葉に出会いました。
「"普通に"という言葉を、自分がこんなに使っていたとは思っていませんでした。でも、よく考えると、お客様には"皆さんそうされていますよ"という意味で響いていたのかもしれません」「日本人は"平均"が好きと言われますよね。飛び抜けたくない、人と違うことはしたくない、平均的ならいい、という心理。自分もそこに無意識に刺さる言葉を使っていたのかもしれない、と気づけたのは面白い体験でした」(村橋氏)
第三者がベテランと若手の商談を聞き比べても、何が違うのか言語化できない。これがこれまでの限界でした。Front Agent のデータ可視化は、その"差分"を明確にしました。
「最初の商談で、まず自分のことをしっかり話す、自己開示をする。これがどの成約商談にも共通して現れていました。新人スタッフが横で同席したときも同じ感想を持っていたので、感覚的には分かっていたんです。ただ、データで見えると確信に変わる。"全員が同じことをすればいい"わけではないけれど、"こうすれば私と同じことができるかもしれない"という一つの型ができたんです」(村橋氏)
サン・ホームのヒアリングシートには、聞くべき項目のリストが整備されています。しかし、リストを忠実になぞるあまり、お客様に「尋問されている」と感じさせてしまう若手も少なくない。
「私は自然に必要なことを聞けているらしいのですが、自分では無意識なんです。それを Front Agent のデータで分析することで、"どうすればその域に近づけるか" を、研修を通じて少しずつ掴めるようになってきました」(村橋氏)
導入後、最も劇的な変化を見せたのがA氏でした。Front Agent でトップセールスや他メンバーの商談データを繰り返し分析し、自身の営業との差分を可視化していった結果、営業の本質にたどり着いたといいます。
「A氏が、営業の本質に気づいてしまったんです。そこから成約率が一気に伸び、個人で年間契約額1億円を突破しました。データを通じて自分なりに型を体系化できて、意識して話せるようになったことが、大きく効いたのだと思います」(村橋氏)
Front Agent では顧客属性ごとの分析が可能で、サン・ホームでは「鹿児島/宮崎」「新築/リフォーム」「ハウスメーカー別」など、商談を多角的に切り出して傾向を捉える使い方が定着しつつあります。
なかでもサン・ホームに特徴的なのが、鹿児島と宮崎のエリア特性の違いが、商談データに如実に表れる点です。鹿児島・宮崎間は車で約2時間、文化圏も異なります。
「今、宮崎地区はどうしても植物提案が弱いんです。これは、もしかしたらエリアの特性上、宮崎のお客様が"あんまりいらない"とおっしゃるからかもしれません。でも、鹿児島では"絶対提案しよう!"と、私が自分でずっとそうやってきたんです。植物が大事だよ、と。これは別に鹿児島だけの話ではなく、全国的にも分かっていることで、植物がないのにおしゃれな外構になるなんて、まずありえないんですから」「鹿児島でも、もちろん"いらない"とおっしゃるお客様はいます。でも本当にそう思ってるのか――そこをもう一度聞きにいく深掘りの質問が、実は決め手なんです。"こうなんですよ"と植栽の意味を伝えると、ご納得いただけるケースが多い。これが、宮崎側でまだ十分にできていない部分なんです」(村橋氏)
エリアによる成績差は、表面的には「地域差」として片付けられがちです。しかし Front Agent のキーワード分析・話題構成分析を通じて、それが地域文化ではなく"営業の話し方の差"であることがデータで明らかになりつつあります。鹿児島で機能している"植物提案の深掘りパターン"を宮崎でも再現できれば、エリア間の成績差は埋めていけるはず――そう村橋氏は手応えを語ります。
「鹿児島と宮崎で営業の差というのは、地域差というよりもほぼ個人差だと思っています。"このエリアだから取れない"ではなく、"その人がこの話し方をしていないから取れていない"。これが Front Agent で見えてきた一番の発見かもしれません」(村橋氏)
「新築とリフォームでは、お客様への話し方も変わってきます。リフォームでは既存の木を撤去するケースが多い一方で、全部なくすと殺風景になってしまう。"どうすればリフォームでも植栽を活かせるか" といった会話の組み立て方も、属性ごとに分析できるのが大きい」(村橋氏)
「A社さんなら木のお家ですから植栽を入れたい方が多い。B社さんは外壁がタイル中心なので植栽の量も変わってくる。ハウスメーカー別に商談傾向が見えるようになれば、提案の精度はさらに上がっていくと感じています」(村橋氏)
「議事録がそれぞれの Salesforce のページに紐付くので、店長や本人がいつでも要点を確認できる。わざわざ書き起こす手間がなく、現場の業務に自然に組み込めています」(村橋氏)
導入前 | 導入後 | 変化 | |
|---|---|---|---|
受注額 | 前期通算 2,700万円 | 今期5月時点(期中)で 3,000万円超 | 前期実績比 約 130% に到達 |
新築外構の成約率 | 25% | 87.5% | +62.5pt(約 3.5 倍) |
個人最大成果 | - | A氏:年間契約1億円突破 | - |
トップセールスの会話傾向の把握 | 同席・口頭伝承+本人の感覚 | データで全件可視化(キーワード・話題構成・深掘り・ポジティブ反応) | 感覚的な共有から、根拠あるパターン共有へ |
若手の練習方法 | 先輩への同席頼り(時間と地理の制約あり) | トップセールスの商談データを自分で分析・反映 | 時間・地理を超えて学べる自走サイクル |
議事録共有 | Salesforce Chatter への手動書き起こし(続かない) | Front Agent → Salesforce 自動連携 | 商談ページから議事録に直接アクセス |
トップセールス層(村橋氏) ── Front Agent を通じて、自身の"無意識の型"を言語化できた。「普通に」というキーワードや、自己開示で場を和ませる流れ、尋問にならない自然な深掘り。これらは社内勉強会・他メンバーへの指導の共通言語として機能し始めている。
ミドル層(A氏) ── トップセールスの商談データを繰り返し分析し、自身の営業との差分から営業の本質に気づいたことで、自身のスタイルを体系化。成約率を急上昇させ、年間契約額1億円を突破。「自信を持って発言できるようになった」という質的な変化も伴っている。
若手層 ── 「録音して終わり」ではなく、村橋氏やA氏の商談データを分析し、差分を自分のトークに反映する自走サイクルが生まれている。村橋氏のいる鹿児島から宮崎の店舗まで車で約2時間――これまで先輩の商談に同席して学ぶには物理的な制約があったが、Front Agent によって、店舗・エリアを跨いで他のメンバーの商談を聞き・分析できるようになり、若手が自分のペースで学べる環境が整いつつある。
数字以上に大きいのが、組織文化の変化です。
「メンバーが自分から商談データを見に行くようになりました。録音しただけでは何も変わりません。他の人の商談を分析して、自分との差分を取り、それを自分のトークに反映する。そのサイクルが回り始めたことが、一番大きな変化だと感じています」(村橋氏)
営業会議で扱う情報も、個人の主観レポートから、Front Agent の分析データに基づく事実ベースの議論へとシフト。「あの商談、なぜ取れたのか」「なぜ取れなかったのか」を、感覚ではなくキーワード・話題構成・深掘りパターンといった具体的な指標で振り返れるようになってきています。
副産物として、Front Agent の分析データを社内教材として活用する取り組みも始まっています。商談データを起点に、組織内のナレッジ循環が広がり始めている段階です。
Front Agent は現在、月次の営業会議における振り返り・行動変容の起点として定着しつつあります。今後は以下のような展開を構想しています。
1. 成功パターンの組織全体への横展開
サン・ホームでは、特定の店舗・メンバーで生まれた成功パターンを、Front Agent によって他店舗・他メンバーが再現可能な形で共有していくフェーズに入りつつあります。トップセールスとA氏が体系化した"無意識の型"を、店舗を跨いで標準化することで、組織全体の底上げを進めていく方針です。
2. 新人・中途人材の早期戦力化
中途採用を含む新規メンバーの定着・戦力化は、長期的な組織課題として継続的に取り組まれてきました。Front Agent によって営業の"型"がデータでパターン化されている状態は、新人にとっても「何を真似ればよいか」が明確になり、戦力化のスピードを大きく前倒しする可能性を持っています。
最後に、他社様へのおすすめポイントを伺いました。
「他店舗展開している会社さんには強くおすすめしたいです。個人事業の店舗だとその人の個性で完結しますが、店舗展開している会社では、お客様に一定の品質を提供するためにも、こうした"型"の仕組みが大きな意味を持つはずです」
「属人的すぎると、"あの人だったらよかったのに" という残念な声につながりかねません。言い方一つで失注にもなる世界ですから、これは小手先のテクニックの話ではなく、お客様をちゃんと読み取って、いい提案を返すためのものなんです」
「お客様のためになるという点では、本当にいいツールだと思います。あとは新人育成ですね。早く戦力化してあげて、"大変だ"と感じる期間を少しでも短くしてあげる。そうすれば、会社全体がもっと発展していけると思っています」(村橋氏)

Front Agent は、サン・ホームにとって単なる議事録ツールではありません。
「答えのない営業」に "形" を与える道具。
トップセールスの無意識を、組織の共通言語に変換するエンジン。
若手がデータから学び、自走する文化を生む基盤。
属人化に悩むあらゆる対面営業組織にとって、Front Agent は "無意識をデータで言語化する" 新しい育成のあり方を示しています。サン・ホームの取り組みは、外構・住宅関連業界はもちろん、地域展開している中小企業の営業組織すべてに応用可能なヒントを与えてくれます。
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