公開日:2026年10月18日

面談後の議事録作業がゼロに、週末の準備は丸1日から約2時間へ
── ixisが、Front Agent×kintoneで「会話」をコンサルティングの中核資産に 

「どんな言葉が飛び交ったか。このコミュニケーションが、僕らのすべての価値なんです」——と、ixisの杉原氏は語ります。

広島県東広島市を拠点に、組織開発とITによる営業効率化の両面から中小企業を支援するixis。コンサルティングの現場では1日6時間に及ぶ対面セッションも珍しくなく、その記録と整理に多くの時間を割いてきました。

同社は、Umee Technologies株式会社が提供する対話インサイトAI「Front Agent」を、サービス提供開始の初期から導入しています。Front Agentをkintoneと直接連携させ、面談の記録が自動でkintoneに格納される仕組みを整えました。その結果、面談1件あたり約20分かかっていた議事録の整理作業がなくなりました。週末に丸1日かけていた翌週の準備も、約2時間に収まるようになっています。

会話を記録し、仕組みに組み込むことで、コンサルティングの質をどう高めたのか。杉原氏に伺いました。

企業名

株式会社ixis(イクシス)

業種

組織開発コンサルティング/kintoneを中心としたクラウドソリューション

導入サービス

Front Agent(対話インサイトAI)

登場者

代表取締役
杉原 里志 氏

課題

議事録の作成・整理に時間がかかる

対面で録音すると場の空気が悪くなる

面談前の準備に週末の時間を取られる

導入時期

2023年9月

成果

面談後の議事録整理毎回20分が0分に

導入前の課題 ── 会話こそが価値なのに、記録に手間がかかっていた

「人」と「仕組み」の両面から組織を変える

ixisの主なクライアントは、売上3億〜30億円規模の中小企業です。チームを機能させる組織開発と、kintoneなどのITを使った営業効率化。この2つを組み合わせて支援しています。

両方を手がける理由を、杉原氏はこう説明します。

「システムをちゃんと入れても、まったく使われないということが起きます。人だけ変えてもダメだし、制度だけ変えてもダメ。人が変わるためには仕組みが土台に必要だし、仕組みが生かされるためには、その会社の文化をつくっていかないといけない」(杉原氏)

「人事評価制度をつくること自体は、AIがある今なら簡単です。それよりも、運用して本当に成果を出す方がずっと難しいですから」(杉原氏)

コンサルティングの価値は「言葉」にある

杉原氏にとって、会話の記録は単なる備忘録ではありません。

「僕らのコンサルティングは、言葉によってお客様にどう影響を与えるか、という仕事です。どんな言葉が飛び交ったか、いつ、どういう期限で何をするのか。このコミュニケーションがすべての価値なので、それを記録しておくことは、再現性を担保するうえで致命的に重要です」(杉原氏)

kintoneの開発支援も同じです。アジャイル型の開発では、要件定義書ではなく、日々の会話から出てくる要望に一つずつ応えていきます。その要望を漏れなく消し込んでいくには、議事録が欠かせません。

一方で、その記録には大きな手間がかかっていました。以前は専任の整理担当者がいて、録音を2倍速で聞きながら、誰が話したかを間違えないよう、全文を手で直していたといいます。

レコーダーを出した瞬間、空気が変わる

対面での録音にも課題がありました。同社の面談は8割が対面です。Front Agentを使う前は、文字起こし機能付きのレコーダーを1〜2か月使っていました。

「レコーダーを出した瞬間に『録音してます』感が出て、空気が悪くなるんですよ。録音されると発言できない、という方もいます。組織開発の文脈では、空気を悪くするとやりづらいんです」(杉原氏)

選定理由 ── kintone連携と「化ける可能性」

Front Agentを知ったきっかけは、Chatworkで届いた「kintoneと連携する議事録システム」という案内でした。決め手は大きく2つあったといいます。

1つ目は、kintoneとの連携です。

「kintoneと連携するというのは、致命的に重要なポイントでした」(杉原氏)

2つ目は、サービスの将来性です。

「当時はまだ、AIにおもちゃ感もありました。UIも、正直に言えば使い勝手が良いとは言えなかった。でも、化ける可能性はコンセプトとしてすごく感じたんです」(杉原氏)

将来性のある技術を早くつかんでおかなければ、自社のお客様に不利益になるかもしれない。そう考え、まずは小さな契約で様子を見ることにしました。

録音のしやすさも決め手になりました。ノートパソコンのブラウザで録音できるため、レコーダーを机に置く必要がありません。

「ごく自然に録れるブラウザ版は、僕らにとって都合が良かったんです」(杉原氏)

社内への導入で、つまずくこともありませんでした。

「簡単でした。録音に対する理解や文化があるので」(杉原氏)

活用プロセス ── 会話の記録が、そのままkintoneの資産に

Front Agentの議事録が、kintoneに直接連携される

Front Agentはkintoneと直接連携しています。録音した面談の議事録データは、そのままkintoneのレコードに格納されます。

「Front Agentのデータをkintoneの中に持たせておくことで、いざ何かあったときに、kintone側で直接アクセスして分析できる筋を残しています」(杉原氏)

データの置き場所をkintoneに集約したことで、会話のデータを、顧客情報や案件情報と同じ場所で扱えるようになりました。

議事録の整形がしやすくなった

Front Agentの文字起こしをもとに、議事録を自社の形式に整える作業もしやすくなりました。

「以前は整理係がいて、録音を2倍速で聞きながら、誰がしゃべっているかを間違えないように全部手直ししていました。今はその作業がなくなりました」(杉原氏)

面談の「ポイント」が、図解になって届く

さらに、議事録の内容をもとに、生成AIとも連携し、面談のポイントを図解した資料も作っています。

「今回の面談で何がポイントだったのかを、図解にしてわかりやすくする。この資料づくりまで終わった状態で1日が終わるので、振り返りがものすごく楽になりました」(杉原氏)

成果とインパクト

Before / After(定量)

指標

導入前

導入後

面談後の議事録整理

1件あたり約20分

ゼロ(自動化)

翌週分の面談前チェック・資料作成

毎週日曜に半日〜丸1日

約2時間

杉原氏はもともとタイピングが速く、打ち合わせをしながら議事録を仕上げていました。その作業がまるごと不要になり、1件あたり約20分の時間が浮いています。

大きかったのは、週末の準備です。以前は毎週日曜日に出勤していました。どのクライアントに何を伝えたか、抜け漏れがないか。チェックリストを使い、カレンダーの予定を一つずつつぶしていく作業です。

「チェックだけで(月に)13〜14時間ぐらい使っていた印象です。そこから制作物をつくるとなると、丸1日かかっていました。それが2時間ぐらいに収まるようになりました」(杉原氏)

Before / After(定性)

項目

導入前

導入後

面談中の集中

議事録を取りながら話すため、応答が遅れることがあった

会話そのものに集中できる

対面での録音

レコーダーを出すと場の空気が悪くなった

ブラウザで自然に録音できる

議事録の整理

専任の担当者が録音を聞き直して手直し

整形がしやすくなり、手直しの作業がなくなった

面談の振り返り

週末に時間をかけて準備

図解資料まで揃った状態で1日が終わる

データの活用

記録が分散

kintoneに直接連携し、いつでも分析できる

数字にあらわれない変化 ── 「最後どこに着地したか」がわかる

杉原氏が最も大きな変化として挙げたのは、コンサルティングそのものの質でした。

「お客様の部長と課長が細かい話をたくさんされて、最後どの文脈に着地したのかわからなくなる瞬間が、どうしてもあるんです。でも議事録がちゃんと取れていて、AIが文脈を理解して『最後はこうなったよね』と出してくれる。読み返すと、確かにそうなんですよね。これまではここが漏れていました」(杉原氏)

議事録を取ることに一生懸命になる必要がなくなり、その分、目の前のクライアントとの対話に集中できるようになりました。

クライアントにも広がる、録音の文化

自社での活用は、クライアントへの提案にも広がっています。営業担当者が日報をExcelで手入力している会社は、今も少なくありません。杉原氏はそうした会社に、まず「記録が自動で日報や提出物になる」仕組みから提案しています。

「(日報などの)入力が自動化されるというのは、だいたい受けがいいので、まずはそこを自動化しようよ、と伝えています」(杉原氏)

セミナーで紹介した直後に、参加企業がFront Agentへ問い合わせたこともありました。アンケートに「あれは何ですか」と書かれていたこともあったといいます。

現在地と、これから

現在、ixisではFront Agentを起点に、議事録の作成から振り返り資料までがほぼ自動で回っています。

今後への期待として、杉原氏はカスタマイズ性とエージェント機能、そして会話の分析を挙げます。

「どう処理してくれるかをカスタマイズできること、エージェントが個別に関わって整形してくれること。そして、やっぱり会話の分析にも期待しています」(杉原氏)

他社様へのメッセージ

組織に新しい仕組みを根づかせる難しさを、杉原氏は誰よりもよく知っています。そのうえで、AIの活用は「やり切る覚悟」の問題だと語ります。

「これからは、AIを掛け合わせた会社と、そうでない会社に分かれていくと思います。やり切った企業が圧倒的な成果を出しやすくなるし、そういう企業に人が集まってくる。やらない選択肢は、もう本当にない。評価制度も含めて、あの手この手でやり切る覚悟が必要だと思います」(杉原氏)

まとめ ── ixisにとってのFront Agentとは

「会話を残すことは、コンサルティング業務においてキーポイントです。中核になると言っても過言ではありません。置いておくだけで自動的に格納されていく。それが、とてもありがたいと考えています」(杉原氏)

会話をきちんと残し、kintoneに直接つないで使える形にする。ixisの取り組みは、記録の手間を減らしただけではありません。会話そのものを、コンサルティングの再現性と質を支える資産に変えています。

会社概要:株式会社ixis(イクシス)

広島県東広島市を拠点に、組織開発とITによる営業効率化の両面から、中小企業の組織変革を支援。「グッとくる会社を世の中に増やす」をミッションに、中小企業ならではの不完全さを会社固有の魅力に変え、働きがいのある組織づくりに取り組んでいる。

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