部下育成の課題を早期解決するには
部下育成は企業の成長に必ず直面する大きな課題です。特に上司が部下を育成するも、想定した効果が出ずに上司も部下も疲弊してしまうことがよくあります。
そこで今回の記事は、部下育成のポイントや失敗の要因、実践方法を解説します。
部下育成のずれとは
上司が部下を育成するという構造上、部下はどうしても従属的にならざるを得ません。これが部下育成の失敗原因の引き金と言えます。
上司の狙いと部下の理解のずれ
上下関係という状況でも、部下の能力を上手く伸ばすには「上司と部下で双方の理解」がなければ難しくなります。上司は当然業務の全容が把握できているからこそ、部下に対して伸びてほしい能力や業務遂行レベルがありますが、部下は自分の業務内容が何に影響しているのか、関係しているのか見えていません。
指導という視点で教育方針を取ると、どうしても1つの業務を教えがちですが、その前に「なぜこの業務をできるようになる必要があるか」をしっかり伝えることで、部下も目標をもって取り組みやすくなります。「言われてやる」より「必要だからやる」というマインドセットにさせることが大切です。
部下の学ぶ環境と尊重
上司が「部下育成」という視点にフォーカスするにも、部下本人が主体的に学ぶ姿勢がなければ成就しません。教育論としてアクティブラーニング・Learning by Doing、簡単に言うと「やりながら学ぶ」ことが教育には必要と言われています。一方的に知識や仕事のやり方を教えても、よほどの強制力がない限り定着は難しいです。
日本の義務教育は古くから暗記型教育の体制が取られ、教育方法がどうしても一方的に知識を植え付ける方法になりがちです。思考型教育ができるように、部下が自分で動いて悩んで学ぶクッションを用意し、上司は定期的なヒアリングをしましょう。
指導以上にヒアリングが重要です。仕事の遅さやミスをどのようにリスクヘッジするべきかを想定し、上司がゆとりを見せることも効果があり、信頼関係も構築できます。
コミュニケーション方法の認識
今まで仕事でのコミュニケーションは対面で会話することが常識とされてきましたが、チャットでのコミュニケーションも重要視されるようになりました。コミュニケーション上、重要なことは時間ではなく「頻度」です。
冒頭の通り、上司と部下の関係上、部下から上司に話しかけることはほとんどないでしょう。また、上司も多くの部下に気を回すことも難しいため、定期的にヒアリングする場を設けることは現実的ではありません。そこでチャットツールを使います。メールではなくチャットが重要です。
チャットでのコミュニケーションは、メールと異なりカジュアルな文面でコミュニケーションがとりやすく、心理的ハードルを下げやすくなります。部下育成の観点に限らず、組織力強化の観点からも定期的に部下とダイレクトメッセージでチャットをしましょう。メッセージが1往復するだけでも温度感や状況が見えてきます。
「仕事どう?」この一言だけでも効果的な質問なのです。
部下育成を成功させるポイント
部下育成のポイントは3つです。
部下に見せる簡易な指導方針
1人1人部下の特性は違えど、業務自体は変わりません。そこで、業務のステージをある程度レイヤーに分けして、部下の業務レベルを認識できるようにします。
ここでの注意点は、具体的にはどの成果が出せれば上に行けるのか、ということを部下は意識するようになるのですが、人事評価にも反映できるように体制にすることが大切です。このレイヤーがほぼ主観で決まる判断基準では、優秀な人材が転職してしまうリスクが高くなります。
賃金や職位を上げられない背景をしっかり加味した説明ができる業務レベルのレイヤー分けをし、部下の業務が他の社員や他部門にどう影響しているか、を理解させられる環境を提供しましょう。また、いつでも社員が確認できるデータにしておくことが望ましいです。アクティブラーニングの姿勢につながります。
カジュアルコミュニケーション
部下との信頼関係を構築するにはコミュニケーション頻度がカギになります。1on1ミーティングはもちろん効果的ですが、それ以前にもっと気軽かつ頻繁にテキストコミュニケーションが必須です。
部下は上司から評価されている感覚を得られない限り、モチベーションが向上することはほぼありません。気にされている・多少でも注意をひいていることが重要で、営業的な側面ではカスタマーサクセスと同じような状況です。事務的ではない定期的な連絡で、相手のモチベーションを測ることはES(エンプロイーサティスファクション)従業員満足度の向上につながるということです。
指導の負荷を楽にするツール選び
アクティブラーニング・やりながら学ぶ環境を提供するということは、未熟な部下に業務をやらせること=ある期間は高い頻度で業務状況を監視する必要があります。
また、複数の部下を同時に育成しなければならない場合、業務の実践状況がデータ化できないとメンターの業務負荷がすぐに限界に達します。上司がその場にいないと確認できないからです。この状況を脱するには、各業務のデータ化が必須となり、それ相応のツールを導入していくことになります。無料ツールで解消できることも多いため、どの業務をデータ化すべきか整理して、業務DXを進めましょう。
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まとめ
部下育成の失敗は部下のモチベーション維持、コミュニケーションの取り方が主な要因です。できる限り事務的な対応を取らず、1人のパートナーとして接することができる環境づくりが成功のカギとなります。
人口減少が止まらない日本では、これからますます人材獲得が難しくなります。ともに業務をしている社員の想いをしっかり受け止め、会社の成長とともに社員の成長も促していけるような働きやすい環境を目指していきたいところです。