「商談成功への鍵!質問力を高める商談テクニック7選」
商談やコミュニケーションにおいて、優れた「質問力」は成功の鍵となります。
「話し上手は聞き上手」
ということわざがあるように、
本当に話が上手な人は、人の話を聞くことも上手です。
相手の話をしっかり聞くことができるからこそ、相手の状況やニーズに応じた提案ができるのです。
商談の現場では、限られた時間の中で相手のニーズを理解し、信頼関係を築くことが重要です。
その際に不可欠となるスキルが「質問力」です。
「質問力」を鍛えることによって、商談力も向上するでしょう。
本記事では、商談成功の鍵を握る「質問力」を向上させるための7つのテクニックをご紹介いたします。
1.オープンエンドの質問(オープンクエスチョン)
オープンエンドの質問は、回答者に自由な意見や詳細な情報を出してもらうためにする質問です。
「YES」「NO」で答えることができる「クローズドエンドの質問」(後述)とは異なり、質問を通して、顧客自身が自分の考えを深めたり、自分の感情や思いを表現するための手助けにもなります。
「今あなたはどのような課題を抱えていますか?」
「どのように感じましたか?」
「どの点が最も重要だと思いますか?」
これらの質問は、相手の深層にある考えや感情を引き出し、より具体的なニーズを把握するのに役立ちます。
オープンエンドの質問は、コミュニケーションスキルを向上させ、豊かな対話を実現するためにとても重要な質問方法です。
2.クローズドエンドの質問(クローズドクエスチョン)
先ほどのオープンエンドとは逆で、クローズドエンドの質問は、選択肢の中から回答したり、「YES」「NO」など、簡潔に回答できる質問を指します。
特定の情報を確認したり、具体的な回答を得るために使用される質問形式です。
クローズドエンドの質問では、相手の選択肢を絞り込み、明確な回答を引き出す聞き方をします。
「A、Bどちらが良いと思われますか?」
「御社が意思決定する際には、A、B、Cの中で、どの項目を最も重要視しますか?」
「本日のお話しでご理解は深まりましたか?」
このようなクローズドエンドの質問は、すでに顕在化しているニーズを簡潔に確認するために効果的です。
しかし一方で、詳細情報や相手の深層心理を把握することは難しい傾向があります。
相手の潜在的ニーズを掘り起こしたい場合には、対話の流れやコミュニケーションの目的に合わせ、他の質問方法と適切に組み合わせることが重要です。
3.プロービング(潜在的ニーズを引き出す質問)
プローブ(probe)とは、「探す」という意味です。
プロービングは、お客様のニーズを「探す」ための質問を指します。
具体的には、「なぜ?」の質問を重ね、深層心理を探ります。
「なぜ、そう思われたのですか?」「なぜ、それが必要だと感じたのですか?」
など。
具体的な例を挙げてみましょう。
「新しい洗濯機が欲しい」と思ってる人がいるとします。
この場合、「洗濯機を欲しい」というニーズはすでに顕在化しています。
しかし、この段階ですぐに、特定の製品をお勧めすることは得策ではありません。
なぜならば、「洗濯機が欲しい」理由が人によって違うからです。
そして、相手に提案していくためには、まずは相手にとっての「理由」を知る必要があります。
Aさん:「使っていた洗濯機が壊れてしまったから、とにかく今すぐ納品される洗濯機が欲しい。」
Bさん:「家族が増えたため、大容量のものが欲しい。」
Cさん:「引っ越すので新居に合わせて、新居スペースに洗濯機が欲しい。新し家には浴室乾燥が付いてないので乾燥機能もついているものが欲しい。」
…など。
Aさん、Bさん、Cさんはそれぞれ「洗濯機が欲しい」という同じニーズからスタートしていますが、
その「理由」は様々。
まずは、相手が欲する「理由」がわからなければ、相手が本当に欲するものや、相手にとって価値を感じてもらえる提案をすることは困難です。
時には「なぜ?」の質問を1度するのみならず、何度か質問を重ね、相手の真のニーズを見つけるまで掘り下げていく必要があります。
4.ニーズを具体化する質問をする
ニーズを具体化する質問は、相手のニーズや要望をより具体的かつ詳細に把握するために必要となります。
先ほどご紹介したブローピング(「なぜ?」の質問)に加えて、ニーズを具体化する質問をしていくことで、お客様の課題を明確にすることができます。
では、先ほどの洗濯機の例におけるAさんの場合で、具体的な質問例を挙げてみましょう。
<Aさん:「使っていた洗濯機が壊れてしまったから、新しい洗濯機が欲しい」という場合>
質問(プロービング)「なぜ洗濯機が欲しいとお思いなんですか?」
→Aさん「使っていた洗濯機が壊れてしまったから、とにかく今すぐ納品される洗濯機が欲しい」
質問(ニーズを具体化する質問)「それ以外にも考慮したい点はありますか?例えば、以前お使いのもので、満足していた点はありましたか?」
→Aさん「一人暮らしなので、サイズがコンパクトだった点は満足していました。」
質問(ニーズを具体化する質問)「逆に、改善したいと思っていたポイントはありましたか?」
→Aさん「そういえば、多機能すぎて、使いこなせていませんでした。次はシンプルな機能のもので良いので価格を抑えられると嬉しいです。」
このように、相手のニーズや課題を具体化するような質問をしていくことで、顧客のニーズや要望を抽象的なレベルから具体的なレベルに引き上げることができます。
最初の段階では、「洗濯機が欲しい」というだけのニーズだったものが、
ニーズを具体化していく質問で、Aさんが
「すぐ手に入り、サイズがコンパクトで、機能がシンプルかつ安価な洗濯機が欲しい」
ということが明らかになりました。
このように、ニーズを具体化する質問を投げかけることで、相手のニーズをよりクリアに把握することが可能となります。
5.相手への共感・関心を表現する質問
相手への共感・関心を表現する質問は、相手との信頼関係を築く上で非常に重要です。
「その課題に取り組むのは大変そうですね(共感の言葉)。ちなみにその課題に対し、どのような取り組みをされたのですか?(相手を理解しようとしてする質問)」
「その考え方は興味深いですね(共感の言葉)。どのようにしてそのアイディアにたどり着いたんですか?(相手を理解しようとしてする質問)」
質問する前に、相手に寄り添うような共感の言葉を添えたり、
相手を理解しようとする質問をすることで、
「この人は自分の話を理解しようとしてくれている」と感じてもらうことができるようになるでしょう。
このような質問をすることで、相手に安心感や信頼感を与えることができるようになります。
6.バックトラッキング
バックトラッキングとは、会話の中で相手の発した言葉を繰り返す会話方法です。
「話をよく聴いてもらえている」「自分自身のことをちゃんと受け止めてくれている」という印象を与える効果を持つため、商談の場において、重要な役割を果たすテクニックの一つです。
バックトラッキングの例をいくつか挙げてみましょう:
相手: 「今、相互シナジーを生む提携を模索しているんです。」
バックトラッキング: 「相互シナジーを生む提携についてですね(相手の言葉をリピートする)。具体的にどのような提携先を探しているのですか?」
相手: 「実は先日のセミナーのための準備は何日もかかり、とても大変でした。しかし、そのおかげで参加者のみなさんからの反応もよく、うまくいったので安心しました。」
バックトラッキング: 「準備は大変だったようですが、セミナーはうまくいって安心ですね。(相手の話を要約する)。具体的にどのような反応があったのですか?」
すぐに自分の考えや質問の言葉を発するのではなく、まずは相手の言葉を繰り返したり、相手の話を要約することで、テーマや趣旨をそらさず会話を進めていくことができるのみならず、相手には「理解してもらえている」という安心感や好感を与えるてくれるでしょう。
7.目標設定を促す質問
目標設定を促す質問は、相手の目標を明確にしたり、相手自身に自分の目標やビジョンを再認識してもらうために投げかける質問です。
人は、目標を明確にすることで、それに向けてすべき行動に意識を向けることができるようになります。
商談の場では、製品や商材の特徴・良さが伝わっても、なかなか相手の購買行動に繋がらないことも少なくないでしょう。
そのような場合にも、相手に対し、目標設定を促す質問を行うことで、こちらの提案の重要性を理解してもらうきっかけになるかもしれません。
「目の前の課題をクリアした後、次に達成したいことは何ですか?」
「どのような状況になっていたら嬉しいですか?」
「半年後には、どれくらいの目標値をクリアしていたいですか?」
目標設定を促すことで、本来の目的を再認識してもらい、成約へと結びつくこともあるでしょう。
しかし例え、自分の提案した製品や商材が売れなかったとしても、相手にとっては、商談の場が自分の目的や目標を見直すきっかけになるかもしれません。
本質的なニーズや課題を一緒に見つけていく商談相手に対しての信頼度は上がり、長い目で見た商談成功に繋がることもあるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
相手の真のニーズや課題にしっかりアプローチして、相手からの信頼を獲得し、説得力を持って提案するためには、何よりも「質問力」を高めることが大切です。
「質問力」を高め、顧客満足度を向上させるために、今回ご紹介したいくつかのテクニックを、状況や相手に合わせて組み合わせて活用してみましょう。