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カスハラとは?企業がとるべき5つの対策や放置するリスクを事例付きで解説


カスハラとは顧客や取引先による過度な要求や暴言、威圧的な言動など、業務の範囲を超えた迷惑行為のことです。

カスハラ対策をせずに放置すると、従業員のメンタル不調や離職、生産性低下などのリスクがあります。

「カスハラ対策をしたいが何から始めたら良いか分からない」とお悩みの経営者や担当者もいらっしゃるでしょう。

結論、カスハラ対策にはAIの活用がおすすめです。カスハラが発生しやすい傾向を分析したり、自動検知して他従業員に知らせたりできます。

今回はカスハラの具体的な事例や対策せずに放置するリスク、企業がとるべきカスハラ対策などについてまとめました。

AIの専門家として、さまざまな企業のカスハラ対策を支援してきた経験から、分かりやすく解説します。

記事を最後までチェックすれば、カスハラ対策を始めるための準備が整います。

カスハラとは?

カスハラは、カスタマーハラスメントの略です。

顧客や取引先が業務対応の域を超えて、従業員に対して過度な要求や暴言、威圧的な態度をとる行為を指します。

例えば、土下座の強要や長時間のクレーム、人格を否定する発言などがカスハラの例です。

接客業やコールセンターなど、顧客と直接やり取りする現場での発生率が高いのが特徴です。

なお、カスハラは顧客や取引先からのクレームすべてを指すものではありません。なかには商品やサービス等への改善を求める、正当なクレームもあります。(参考:厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル 7ページ

従業員の安全と働きやすい環境を守るためには、カスハラへの適切な対策が欠かせません。

実際に起きたカスハラの事例

実際に起きたカスハラの事例を、厚生労働省 カスタマーハラスメント事例集を参考に紹介します。

顧客が(サポートデスクに)「あたまわるいうえに性格悪い」といった人格否定にあたる発言を行った。(情報通信業)

運転見合わせ時に、お詫び放送を繰り返していたところ、旅客から「いつ発車するのか放送しろ」としつこく詰問を受けた。運転再開見込みがわからない旨を伝えたが、旅客は納得せずスマホで車掌の対応を無断で動画撮影した。(運輸業、郵便業)

顧客が従業員の手を触り、顔を近づけるなどした上で、繰り返し従業員の連絡先を聞いてきた。また、従業員が顧客に電話する際には、店舗からではなく従業員の携帯電話からかけるように強要した。(卸売業、小売業)

顧客が宿泊のたびに客室の清掃不備を指摘し、客室のグレードアップや顧客の前で清掃することを要求した。 (宿泊業、飲食サービス業)

顧客の安全を配慮し、サービス(靴の加工)を丁重に断ったところ、フロア全体に響き渡る程の大声で怒鳴り散らす、暴言を吐く、靴を投げる、椅子を叩くなど2時間にわたり威圧的行動を取った。また、それ以降も不定期にその顧客が売場を訪れ怒鳴り散らすことが続いており、従業員が怯えている。(生活関連サービス業、娯楽業)

薬を過剰に内服することを希望する患者に対し、薬剤師と従業員ができない理由を伝えたところ、「殺すぞ」と発言した。(医療、福祉)

カスハラ対策をせずに放置するリスク

カスハラ対策をせずに放置すると、以下のようなリスクが生じます。

  • 従業員のメンタル不調・離職の増加
  • 職場の雰囲気悪化・生産性低下
  • 採用力の低下と長期目線で見た組織衰退

それぞれ詳しく解説します。

従業員のメンタル不調・離職の増加

カスハラを放置すると、第一線で対応する従業員の精神的負担が蓄積します。この状況が続くとメンタルヘルスに不調を引き起こすリスクが高まるでしょう。

結果としてモチベーションの低下や業務への支障、最悪の場合は離職へとつながってしまうかもしれません。

たとえストレス耐性のある人材でも、理不尽な要求や暴言に日常的にさらされると、心が擦り減っていきます。

従業員の入れ替わりが激しくなると、育成コストや業務の継続性にも悪影響を及ぼします。

労働環境の安全性が担保されなければ、従業員は会社への信頼を失うでしょう。安心して働ける場を求めて離れていくのは必然です。

職場の雰囲気悪化・生産性低下

カスハラ被害が続く職場では、従業員同士のコミュニケーションがぎくしゃくしやすくなり、職場全体の雰囲気が悪化するでしょう。

カスハラの被害者だけでなく、それを見聞きする他の従業員にも心理的な影響が波及し「自分も同じ目に遭うのではないか」という不安が広がります。

その結果、顧客対応への積極性が失われて防衛的な姿勢が強くなり、サービス品質の低下を招く恐れがあります。

また、上司や人事部門が被害を見て見ぬふりをしている状況が常態化すると「この会社は守ってくれない」といった不信感が広がりかねません。

企業全体の生産性にも大きく影響します。

採用力の低下と長期目線で見た組織衰退

カスハラ対策を怠ると、企業の信用が低下します。そのため、求職者から選ばれにくい企業となるでしょう。

近年の就職活動では、収入のみならず「職場環境」や「従業員の待遇」に注目する傾向が強まっています。

つまり、カスハラへの対応姿勢は採用にも直結します。

また、SNSや口コミサイトでカスハラ対応の杜撰さが拡散されれば、企業イメージは一気に悪化し、優秀な人材ほど敬遠するようになるでしょう。

カスハラ対策の放置は、長期的に見ればリスクでしかありません。

従業員が定着せず、育成もままならない状態が続き、組織の競争力そのものが失われていくからです。

短期的な業績ではなく持続的な成長を求めるのであれば、早期の対策が不可欠です。

今後企業によるカスハラ対策は義務化される方針

カスハラへの社会的関心は、年々高まっています。カスハラの様子を別の顧客がスマートフォンで撮影して、SNSなどで拡散するケースも珍しくありません。

こういった状況のなか、企業に対するカスハラ対策の義務化が国レベルで検討されています。

2025年3月11日には、カスハラ対策を雇用主に義務付ける法案が国会に提出されました。

また、東京都では2025年4月1日より、カスハラ防止を目的とした全国初の条例が施行されました。

今後も企業へのカスハラ対策義務化の方針は続くでしょう。そのため、早いうちからカスハラ対策に取り組んでおいて損はありません。

企業がとるべきカスハラ対策を事例付きで紹介

企業がとるべきカスハラ対策の具体例は、以下のとおりです。

  • 名札の表記を見直す
  • 通報・相談体制の整備
  • 対応マニュアルを作成する
  • 証拠を残す
  • 研修(ロープレなど)を実施する

1つずつ詳しく見てみましょう。

名札の表記を見直す

カスハラへの初期対応として、名札の表記を見直す企業が増えています。

従来、名札にはフルネームを記載するのが一般的でした。しかし、SNSでの個人攻撃や私的な連絡を防ぐため、名字のみ、イニシャル、あるいは番号などに変更するケースが見られます。

特に接客・販売・医療などの現場では、フルネームを公にすることで従業員が不当な圧力や誹謗中傷にさらされるリスクが高まるでしょう。

例えば、以前までドラッグストアでは、薬剤師や登録販売者の名札にはフルネームを記載しなければなりませんでした。

しかし、ストーカー被害やカスハラ防止の観点から、2022年6月27日より姓のみや、氏名以外の呼称を記載した名札が認められるようになりました。

名札の表記を見直すことで、従業員の心理的安全性を守るとともに、企業として「従業員を守る意思がある」と社内外に示せます。

コストや手間も少なく、すぐに取り組める施策として有効です。

通報・相談体制の整備

カスハラ対策において、通報・相談体制の整備は極めて重要です。

従業員が不当な要求や暴言を受けた際、すぐに社内へ報告・相談できる窓口があるかどうかで、その後の対応や心理的負担が大きく変わります。

例えば、接客中にトラブルが発生した際に即時通報できる専用ボタンの設置や、本部や上長にリアルタイムで共有できる仕組みの導入が対策として有効です。

また、音声記録やチャットログといった証拠を自動で蓄積する仕組みと併用することで、事実確認や初動対応のスピードも向上します。

通報後の対応フローや、相談内容に基づくフィードバック体制も整備することで、従業員は「自分は守られている」と安心して業務に取り組めるようになるでしょう。

通報や相談をためらわせない空気づくりも含めた仕組み化が求められます。

対応マニュアルを作成する

電話対応の現場ではカスハラが突然発生するケースが珍しくありません。オペレーターが適切に対応できるかは、事前の準備に左右されます。

そこで有効なのが対応マニュアルです。

暴言や長時間拘束といった典型的なカスハラ事例に応じたフレーズ例や、対応のフローを明文化しておきましょう。

マニュアルを作成するだけでなく、定期的に更新し、現場の声を反映させることも重要です。

判断を個人任せにせず組織として統一された方針を持つことで、カスハラ対応の品質と一貫性が保たれ、従業員の心理的負担も軽減されます。

証拠を残す

カスハラ対応では、感情論や言った・言わないの水掛け論になりやすいため、証拠の確保が極めて重要です。

特に電話対応では、録音や通話ログの保存により、客観的事実としての裏付けが可能です。

実際に多くのコールセンターでは、通話内容を録音・自動保存し、社内の管理者や法務部門が後から確認できる体制を整えています。

証拠は従業員を守るための「盾」となり、顧客対応の質を保つだけでなく、万が一の法的トラブルに備えるうえでも有効です。

加えて、証拠を残すことで顧客の過剰な要求を抑制する効果にも期待できます。

研修(ロープレなど)を実施する

どれだけマニュアルを整備しても、実際の現場では臨機応変な対応が求められます。

そのため、カスハラ対策では研修の実施が欠かせません。特に効果的なのが、ロールプレイング形式の研修です。

実際のクレームやカスハラ事例をもとに、上司や同僚が顧客役となって練習することで、冷静な対応の訓練になります。

定期的な研修の実施によって、従業員のスキルと自信が向上し、組織全体としての対応力が高まります。

カスハラ対策にはAIの活用がおすすめ

以下3つの理由から、カスハラ対策にはAIの活用がおすすめです。

  • カスハラの自動検知やアラートができるから
  • カスハラが発生しやすい傾向(時間帯・顧客属性など)を分析できるから
  • カスハラを防ぐやり取りの方法が分かるから

1つずつ詳しく解説します。

カスハラの自動検知やアラートができるから

AIを活用すれば、音声やチャットなどのやり取りからカスハラを自動で検知し、リアルタイムでアラートを出せるようになります。

例えば、通話のなかで怒鳴り声や侮辱的な表現が検出された場合に、AIがその内容を即座に認識し、管理者に通知するような形です。

必要に応じて、上司や他の従業員がカスハラを受けている従業員のヘルプへと向かえるようになるでしょう。

これにより、現場の担当者はひとりで抱え込まずに済みます。AIによる監視によって、従業員は安心感を持って業務にあたれるようになります。

カスハラが発生しやすい傾向(時間帯・顧客属性など)を分析できるから

AIは膨大なデータの解析によって、カスハラが起きやすい条件を特定できます。

「平日の午後」「高齢男性からの通話」「予約の直前にかかってくる電話」など、具体的な傾向が見えるようになります。

このような分析結果があれば、企業はリスクの高い時間帯にベテラン社員を配置したり、対応マニュアルを最適化したりと、予防策を講じられるでしょう。

また、統計的に見てトラブルの少ない顧客層との違いを把握することで、今後のサービス設計や研修内容にも活かせます。

感覚ではなくデータに基づく対策が取れる点で、AIの導入は非常に有効です。

カスハラを防ぐやり取りの方法が分かるから

AIは、カスハラが発生したケースと発生しなかったケースのやり取り内容を比較・分析できます。

そのため「カスハラを招きにくい言葉遣い」や「相手を刺激しにくい対応フレーズ」などが分かります。

例えば、ターゲットにされやすい対応者と、されにくい対応者が使っている表現を抽出・比較すれば、効果的な言い回しやトーンが明確になるでしょう。

この結果をもとに、ロールプレイやマニュアルを改善すれば、従業員の対応力は格段に向上します。

属人的なノウハウに頼らず、客観的データに基づく研修ができる点でも、AIの活用は再現性と効率の高い対策になります。

カスハラ対策にはFront Agentが最適


Front Agentは、接客・コールセンター業務・商談など、あらゆる会話をリアルタイムで解析し、組織に進化をもたらす話術AIです。

録音・録画ボタンを押すだけで、議事録作成からSFA/CRMへの連携まですべて自動で行われます。

録音データをもとに、カスハラに至ったケースとそうでないケースの違いや、カスハラをする顧客の傾向などを抽出可能です。

独自開発したアルゴリズムを搭載しているため、従来の生成AIのような「同じ質問をしているのに異なる回答が返って来る現象」が起きません。

機密情報に関する心配も、自社開発のAIを用いるため不要です。

Front Agentの活用事例は、以下の動画でも紹介しています。

>>Front Agentの導入事例を見てみる

まとめ

カスハラの具体的な事例や対策せずに放置するリスク、企業がとるべきカスハラ対策などについて解説しました。

カスハラ対策は、今後企業の義務となるでしょう。

そのため、カスハラ対策は早めに取り組んで損はありません。そしてカスハラ対策には、AIの活用がおすすめです。

Front Agentを活用すれば、接客・コールセンター業務の自動記録や分析、他データとの差分や改善点の抽出などが可能です。

より具体的な機能を知りたい方は、ぜひ資料をダウンロードし詳細をご確認ください。

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