マーケティングや企画系の仕事に携わっていると、「顧客の声（VoC）」をどのようにして集めて分析するのかということに頭を悩ませている場面も多いと思います。それは市場調査やアンケートだけでは得られない、「生きた声」や「潜在的なニーズ」を掴むことこそが、ヒット商品や革新的なサービスを生み出す鍵となっているからにほかなりません。

しかし、多くの企業では、最も身近にある「宝の山」を見過ごしています。それが、日々積み重ねられている「議事録」です。あなたの会社では、会議や商談の議事録は「記録を残すこと」が目的になっていませんか？ もしそうなら、大きな機会損失をしているかもしれません。

本記事では、議事録を単なる記録ではなく、VoCの戦略的な収集源として活用し、その先のインサイト発掘に繋げる具体的な手法を解説します。合わせて音声データをもとに議事録作成からその先インサイト発掘までを行うインサイトアナリシス™「Front Agent」も合わせて紹介します。

なぜ議事録が強力なVoC収集源となり得るのでしょうか。それは、議事録のもととなるデータ、特に「音声データ」に隠された情報にあります。

現代では、オンライン会議ツールの普及により、会議や商談を録音することがごく一般化しました。これにより、議事録は「手書きのメモ」から「高精度な音声データに基づいた記録」へと進化しました。

この進化の最大の利点は、データには「言葉」だけでなく、「感情」や「トーン」が含まれていることです。

• お客様が何を言ったか（テキスト情報）
• お客様がどんなトーンで言ったか（音声情報）

この2つがセットで残ることで、「機能には満足している」と発言しつつも、声のトーンに少しの迷いや不満が滲んでいる、といった定性的な情報までキャッチできるようになります。アンケートのように整然とした回答ではない、「生きた感情」こそが、VoCの質を高める決定的な要素です。

アンケートやインタビューもVoC収集に欠かせませんが、議事録にはそれぞれに対して以下のような優位性があります。

｜アンケート

｜インタビュー

特に、お客様との何気ない会話や、会議中のふとした発言に「真のニーズ」や「不満点」は潜んでいるものです。議事録は、この「現場のリアル」を最も高解像度で残すことができるのです。

議事録をVoC収集ツールとして機能させるためには、「記録する」だけではなく、「分析しやすい形」で作成することが不可欠です。以下に、VoCの質を高めるための具体的なポイントを紹介します。

特徴： 定量的なデータ（満足度、利用頻度など）と、自由記述による定性データをバランス良く収集できます。

1. 話者を明確にする
   単に「発言」ではなく、「A社 佐藤様の発言」「企画部 山田の発言」のように、誰の発言か（特に顧客・ターゲットの発言）を正確に記録します。これにより、発言の背景にある立場や意図を把握しやすくなります。

2. 事実と意見を分ける
   「顧客の具体的な要望（VoC）」や「現状の問題点（事実）」と、社内での「対応策（意見・アイデア）」を区別して整理します。後でVoCだけを抽出して分析する際に、ノイズを排除できます。

3. 定性的な情報をメモで補足する
   これが最も重要です。文字起こしだけでは分からない、「発言のトーン」「沈黙の長さ」「発言に詰まった瞬間」などの感情に関わる情報を、議事録の備考欄にメモとして残します。
   例：「〇〇機能について質問時、声のトーンがやや低くなる」「競合製品の話で、急に発言が増える」

集めたVoCを「宝の山」から「戦略的な情報」に昇華させるには、整理・分類が鍵となります。

1. テーマ・目的別の分類（タグ付け）
   議事録を単体で終わらせず、「価格」「機能」「サポート」「競合」といったVoCのテーマでタグ付けします。これにより、後で関連するVoCを一括検索・分析することが容易になります。
2. ネクストアクションとの紐付け
   記録したVoCから導き出された「インサイト（顧客の潜在的な欲求）」と、それに基づく「次のアクション（企画案、開発要望など）」をセットで記載する習慣をつけましょう。これにより、議事録がそのまま戦略の種となります。

1. リアルタイム性の高いVoC収集：最新の顧客ニーズや市場の変化を、タイムラグなく把握できます。
2. 発言の背景を理解しやすい：会議や商談の流れという文脈の中で発言が記録されるため、なぜそう発言したかのインサイトを発掘しやすい。
3. 関係者への共有が容易：議事録としてデータ化することで、マーケティング、開発、営業など多部署間の情報共有を促進し、全社的な顧客理解を高められる。

議事録をVoC活用する上では、いくつかの課題と注意すべき点があります。

• デメリット：作成工数と分析の手間
  音声からの文字起こし・整理、そして大量のVoCの中から質の高い部分を選別し、分類する手間はかかります。
• 注意点：個人情報の取り扱い
  ・顧客との商談議事録は、機密性の高い情報や個人情報を含んでいる可能性が高いため、厳重な管理体制（アクセス権限の設定、クラウドストレージのセキュリティ強化など）が必要です。
  ・会議や商談を録音・記録する際は、事前に参加者からの許可を得るなど、法令遵守を徹底しなければなりません。

• 文字起こし・話者分離： 音声データを高精度でテキスト化し、話者ごとに分離することで、議事録作成の手間を大幅に削減します。
• 要約・キーワード抽出： 大量のVoCの中から、重要な論点や頻出キーワードを素早く抽出する補助機能を提供します。

最も重要なのは、AIがインサイトを「発掘する」わけではないということです。
AIはパターン認識や効率化に優れていますが、顧客の「感情の裏側にある真意」を汲み取り、「次に何が売れるか」という戦略的なインサイトを導き出すのは、企画・マーケティング担当者の重要な役目です。
AIは、あなたがより深く考えるための「時間」と「整理されたVoCデータ」を提供してくれる強力なサポート役と捉えましょう。

「Front Agent」は、商談の会話データを自動で記録・議事録化・分析し、これまでブラックボックス化していた商談内容をAIが言語化・可視化するAIエージェントです。

日々の商談から得られる“リアルな顧客の声（インサイト）”をビッグデータとして活用し、従来のリサーチでは見えなかった顧客の本音や意思決定の背景を明らかにします。

営業現場は録音 / 録画ボタンを押すだけ。議事録作成からSFA / CRMへの連携まで全て自動化。蓄積された議事録データからインサイトの抽出までをAIエージェントが支援。

顧客と営業メンバーの会話の特徴を抽出。指定した顧客セグメントごとの特徴 / 共通点から、勝ち筋やインサイトをファクトに基づいて抽出。

VoC活用に課題を感じている企業は多く、その主な理由として「集計や分析をするリソースが足りない」「収集や分析に時間がかかり活用するところまでいかない」が挙げられており、この課題を解決するための初期コンサルティングをセットに。

「Front Agent」は、既存のCRMやSFAシステムと連携することで、商談情報の一元管理と自動記録を実現します。活動記録やレポート作成といった事務作業に費やす時間を削減でき、より多くの時間をマーケティング戦略の立案や顧客との関係構築にあてることができます。 

議事録のVoC活用は、単なる記録管理の改善ではなく、「インサイトマーケティング」への第一歩です。

インサイトに気づくことができれば、あなたが考える企画は、顧客の心を掴むヒット商品へと繋がります。
議事録を、「単なる記録」ではなく、未来のビジネスを創るための「戦略的なVoCデータ」として捉え直すことがその第一歩です。VoCを丁寧に集め、インサイトに昇華させる習慣こそが、AI時代を生き抜くマーケター・企画担当者の必須スキルとなるでしょう。

インサイトを中心としたデータを活用したお役立ち記事もご用意しておりますので、ぜひご覧ください。

Umee Technologiesのインサイトアナリシス™「Front Agent」は、対面、WEB会議、電話、 あらゆる商談から得られたVoCなどを解析し、顧客の隠れた本音・意思決定する理由を可視化するインサイト解析ツールです。

議事録に記録された発言ややり取りの中には、意思決定の背景や組織の課題、そして次の一手となるヒントが数多く埋もれています。これらを正確に読み解き、インサイトとして抽出・活用することは、変化の激しい市場で「選ばれつづける会社」になるために欠かせません。
しかし実際には、膨大な議事録データが整理されずに眠り、マーケティングや企画、営業戦略の現場で十分に活かされていないのが現状です。
「Front Agent」は、会議や商談の議事録データを解析し、そこから意思決定の根拠や勝ち筋を導き出すインサイトアナリシス™です。属人的な判断に頼らず、データに基づく再現性の高い組織づくりを支援するパートナーとして、導入を検討してみてはいかがでしょうか。