
「音声データ」は顧客インサイトの宝庫!議事録だけで終わらせない、事業に活かすAI戦略とは?
「音声データ」は顧客インサイトの宝庫!議事録だけで終わらせない、事業に活かすAI戦略とは?
録音した音声、そのままにしていませんか?
Web会議システムやクラウドPBXの普及により、商談、カスタマーサポート、ユーザーインタビューなど、顧客との重要な対話を録音・記録できる機会がとても多くなってきました。営業、カスタマーサポート、マーケティング、企画などの各部門では、すでに大量の音声データが社内サーバーやストレージに蓄積されている、というケースも多いのではないでしょうか。
しかし、そのデータを「必要な時に特定の会話を聞き直す」という利用にとどまっていないでしょうか? その膨大な情報が持つ真の価値、「顧客インサイト」を有効活用できていないケースが非常に多いのが現状です。
音声データが、市場の変化、製品への不満、そして競合他社にはない自社の優位性を顧客の視点から教えてくれる「宝の山」であることに着目している企業はまだまだ少ないといえます。本記事では、「音声データ」の価値、取得・AIを活用した分析方法、マーケティングや事業戦略へどのようにして落とし込むべきかを具体的に解説します。
併せて、音声データをもとに議事録作成からその先のインサイト発掘を行うインサイトアナリシス™「Front Agent」も紹介します。
目次[非表示]
- 1.録音した音声、そのままにしていませんか?
- 2.音声データの「価値」とは? なぜ今、注目すべきなのか
- 3.音声データ(非構造化データ)と構造化データの違い
- 3.1.構造化データ
- 3.2.非構造化データ
- 3.3.音声データは、AIで価値ある「インサイトデータ」に変換できる
- 4.音声データが蓄積されると、どのような良いことがある?
- 4.1.成功・失敗パターンの体系化
- 4.2.顧客ニーズの優先順位付け
- 4.3.業務効率と教育コストの削減
- 5.音声データはどのようにして取得・分析する?
- 6.音声データをマーケティングや事業戦略にどのように活用する?
- 7.音声データの取り扱い注意点
- 8.音声データは議事録作成のためだけにあるわけではなく、「未来の打ち手」を決める重要データ
- 9.商談の会話データから勝ち筋・インサイトを抽出するインサイトアナリシス™「Front Agent」
- 9.1.インサイトアナリシス™「Front Agent」の特徴
- 9.1.1.会話を“傾向”データ化し、インサイト抽出
- 9.1.2.インサイト発掘のサポートコンサルティング
- 9.1.3.どこでも、誰でもカンタンに使える
- 9.1.4.CRMやSFAなど既存ツールと連携できる
- 10.音声解析に関するお役立ち記事・資料紹介
音声データの「価値」とは? なぜ今、注目すべきなのか
音声データの価値は、単に「会話の内容が残っていること」ではありません。その真の価値は、テキストデータだけでは決して捉えられない「非言語情報」にあります。
音声データには、大きく分けて2つの情報が含まれています。
発言内容(What): 顧客が何を語ったか、どのような質問や要望を口にしたか、という事実情報
話し方(How): 顧客がどのようなトーン、抑揚、話すスピード、沈黙の長さで話したか、という感情や態度
特に後者の「話し方」には、顧客の「言葉の裏に隠された真の感情」や、顕在化していない「潜在的なニーズ(インサイト)」が詰まっています。
例えば、「この機能は...少し使いにくいですね」という言葉一つを取っても、それが強い不満(ネガティブなトーン、早口)から来るものなのか、それとも改善の提案(フラットなトーン、明確な口調)なのかによって、次に取るべきアクションは全く異なります。
音声データは、この顧客のリアルな感情とインサイトを、データとして分析可能な形で提供してくれる唯一の情報源なのです。
音声データの価値については、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
音声データ(非構造化データ)と構造化データの違い
音声データの活用を理解するためには、データ形式の違いを明確に理解する必要があります。
構造化データ
定義
あらかじめ定義された「型(構造)」に沿って整理されたデータです。データベースやExcelシートのように、行と列によって要素が明確に区分けされます。(例:売上金額、顧客の年齢、アンケートの選択肢結果など)特徴
検索、集計、分析が容易で、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールなどで扱いやすい。
非構造化データ
定義
特定の構造や規則を持たない、自由形式のデータです。そのままでは分析や集計が困難です。(例:音声、動画、メール、SNS投稿文、画像など)特徴
構造化データと比べて情報量が圧倒的に多いものの、有効活用するためには「解析・抽出」が必要です。
音声データは、AIで価値ある「インサイトデータ」に変換できる
音声データは、この非構造化データの代表格です。近年進化が進むAIツール、特に「音声認識技術」や「自然言語処理(NLP)」の活用により、この音声データは以下のような「活用可能なデータ」へと変換されます。
- テキスト化(音声認識)
音声を文字情報に変換し、検索可能なデータにします。 - インサイトの抽出・付与(AI分析)
・会話中における特徴的なキーワードや特定のトピックを抽出する(定量化)。
・声のトーンから感情を数値化し、メタデータとして付与。
・会話の中で顧客が最も関心を示した時間帯をハイライト。
このプロセスを経ることで、膨大で扱いにくかった音声データは、事業戦略に直結する「インサイトデータ」として活用できるようになります。非構造化データが持つ情報の深さを最大限に活かすための加工・解析を行うことが、音声データ活用における鍵となるのです。
音声データが蓄積されると、どのような良いことがある?
音声データを単なる記録から「インサイト」へと昇華させ、継続的に蓄積・分析することで、組織全体に以下の具体的なメリットをもたらします。
成功・失敗パターンの体系化
経験や勘に頼りがちだった営業やサポートの「質」がデータによって可視化されます。
- ハイパフォーマーの解析
成約率の高い営業担当者が、顧客の課題を聴き出す際に「どのような質問を」「どのようなタイミングで」行っているかを定量的に分析できます。そうしたハイパフォーマーが持つスキルを抽出することで、組織全体のスキルを底上げできます。 - 失注要因の特定
顧客が「競合他社」や「価格」について言及した際のトーンや反応を分析し、失注に繋がったトリガーを特定できるようになります。
顧客ニーズの優先順位付け
コールセンターやサポートデスクの膨大な音声データから、顧客が頻繁に、かつ最もネガティブな感情を伴って言及する製品・サービスの問題点を抽出できます。
これは、製品開発・改善ロードマップにおける「緊急度の高い課題」の優先順位付けに直結します。感情のデータがあることで、「数が多いだけの要望」と「解決が急務な強い不満」を明確に区別できるようになります。
業務効率と教育コストの削減
音声認識と要約機能の進化により、録音データの取り扱いに関する工数が劇的に減少します。
- 振り返り時間の削減
議事録が自動生成されるため、担当者は聞き直しに時間を割く必要がなくなり、次のアクション準備に集中できます。 - 新人教育の効率化
過去の成功事例やトラブル対応の「生きた教材」を容易に検索・共有でき、OJTの質とスピードが向上します。
音声データはどのようにして取得・分析する?
ステップ1:音声データ取得(録音)
- 現場に合わせた仕組みの導入
商談であればWeb会議ツールや専用のICレコーダー、コンタクトセンターであれば通話録音システムを活用し、可能な限りノイズの少ないクリアな音声データを取得します。
ステップ2:インサイトの特定に工数がかかる
録音された音声は、AIを活用した専門の分析プラットフォームによって処理します。
- 高精度な音声認識
音声をテキストデータに変換します。この際、業界特有の専門用語や固有名詞に対応できる高精度なモデルの選択が重要です。 - 感情分析
声のトーン、話速、ピッチなどを解析し、発言者が抱く感情(喜び、怒り、悲しみ、中立など)をデータ化します。 - キーワード抽出・カテゴリ分類
競合他社名、特定の機能名、クレームワードなどの重要キーワードを抽出し、会話のフェーズ(課題提起、提案、クロージングなど)を分類します。
ステップ3:インサイトの発見と活用
蓄積した解析データを分析することでインサイトを発見し、新規事業・マーケティング施策・顧客満足度向上への活用を進めます。
- 「先月比で、競合Aの言及回数が20%増加している」
- 「特定機能に関する会話の80%でネガティブなトーンが検出されている」
音声データをマーケティングや事業戦略にどのように活用する?
音声データが各部門にとって、どのような施策に繋がるのかを具体的に見ていきましょう。
コンテンツマーケティング | 【具体的なインサイト抽出の例 : 顧客が課題を説明する「生きた言葉」】 【事業戦略への落とし込み】 |
|---|---|
製品・サービス企画 | 【具体的なインサイト抽出の例 : 顧客理解の促進】 【事業戦略への落とし込み】 |
営業マネジメント・教育 | 【具体的なインサイト抽出の例 : 成功トークの「時間軸分析」】 【事業戦略への落とし込み】 |
市場・競合分析 | 【具体的なインサイト抽出の例 : 競合他社の優位性に関する「顧客の評価」】 【事業戦略への落とし込み】 |
音声データは、単なるテキスト分析では見逃されがちな、顧客の感情変化という時系列の情報を伴うため、上記のような深掘りされた、再現性の高いインサイトの抽出を可能にします。
音声データの具体的な活用方法については、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
音声データの取り扱い注意点
音声データは非常に機密性が高い情報を含むため、活用を進める前に以下の点について組織的な取り決めと対応が必須です。
1. 録音の「同意」とコンプライアンスの遵守
最も重要なのは、対話の相手(顧客や社員)からの明確な同意を得ることです。国や地域によっては、当事者全員の同意が求められる場合があります。
|対応例
- Web会議システムやコールセンターにおいては、「本通話はサービス向上のため録音されます」という自動アナウンスを徹底する。
- 商談時には、書面や口頭で事前に利用目的を説明し、同意を得るプロセスを組み込む。
2. 個人情報保護とデータの厳重な管理
音声データには、氏名、連絡先、機密性の高い事業内容など、個人情報や企業情報が含まれる可能性があります。
データは厳重に暗号化され、アクセス権限が限定された環境でのみ管理・分析を行う。
分析目的以外で、個人を特定できる情報(氏名など)はマスキング(匿名化)処理を施す。
3. 利用目的の明確化
取得した音声データを「何のために」利用するのかという利用目的を明確にし、その範囲を超えて利用しないことが信頼構築の基本です。例えば、「製品改善と教育目的」で取得したデータを、個人の評価や懲罰に使うことは倫理的に問題となる場合があります。
音声データは議事録作成のためだけにあるわけではなく、「未来の打ち手」を決める重要データ
録音された音声データは、事業成長を加速させる「眠れる資産」です。
非構造化データである音声から、AI技術を通じて感情や重要キーワードといったインサイトを抽出し、それを体系的に蓄積することは、過去の記録を未来の戦略に変換する最も効果的な手段となります。議事録作成で終わらしてしまってはもったいないです。
顧客の「生の声」と「感情」に基づいたインサイトは、的外れな施策を防ぎ、マーケティング、製品開発、営業戦略の精度向上を実現させます。
録音したデータを放置せず、「顧客インサイト」を紐解く一歩を踏み出しましょう。
商談の会話データから勝ち筋・インサイトを抽出するインサイトアナリシス™「Front Agent」
顧客の隠れた本音・意思決定する理由を可視化する「Front Agent」は、対面・Web会議・電話など、あらゆる商談データを自動で解析し、顧客の隠れた本音や意思決定の理由をファクトベースで可視化する「インサイト解析ツール」です。
商談時に録音・録画ボタンを押すだけでAIが議事録を作成し、SFAやCRMへのデータ連携も同時に完了します。さらに、蓄積された商談データを元にインサイトを抽出し、「勝ち筋」や「顧客が本当に求めている価値」を導き出すことが可能です。
「顧客インサイトを事業に取り入れたいけど、データ収集や分析のリソースが足りない」とお悩みの方は、ぜひ一度「Front Agent」をチェックしてみてください。
インサイトアナリシス™「Front Agent」の特徴
会話を“傾向”データ化し、インサイト抽出
顧客と営業メンバーの会話の特徴を抽出。指定した顧客セグメントごとの特徴 / 共通点から、勝ち筋やインサイトをファクトに基づいて抽出。
インサイト発掘のサポートコンサルティング
VoC活用に課題を感じている企業は多く、その主な理由として「集計や分析をするリソースが足りない」「収集や分析に時間がかかり活用するところまでいかない」が挙げられており、この課題を解決するための初期コンサルティングをセットに。
どこでも、誰でもカンタンに使える
営業現場は録音 / 録画ボタンを押すだけ。議事録作成からSFA / CRMへの連携まで全て自動化。蓄積された議事録データからインサイトの抽出までをAIエージェントが支援。
CRMやSFAなど既存ツールと連携できる
「Front Agent」は、既存のCRMやSFAシステムと連携することで、商談情報の一元管理と自動記録を実現します。活動記録やレポート作成といった事務作業に費やす時間を削減でき、より多くの時間をマーケティング戦略の立案や顧客との関係構築にあてることができます。


