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顧客体験を向上させるカスタマージャーニーとは? マーケティングにおける重要性と作成のポイントを解説

顧客体験を向上させるカスタマージャーニーとは? マーケティングにおける重要性と作成のポイントを解説

ビジネスの現場で「顧客の声(VoC)」の重要性は増しています。商談、ユーザーインタビュー、アンケート、商談で得られた断片的な「顧客の声」を、具体的な施策や成果に結びつけることができている組織はそれほど多くはありません。

「機能の改善要望は多いが、どこから着手すべきか優先順位がつかない」 「広告の反応は良いが、成約まで結びつかない理由がわからない」 「解約率(チャーンレート)を下げたいが、顧客がどのタイミングで不満を感じているのか見えてこない」

こうした課題の多くは、顧客を「点」で捉えてしまっていることに起因します。顧客は、ある日突然・サービスや商品を買うわけではありません。日々の生活の中で課題を感じ、情報を探し、比較検討し、納得して購入し、その後の体験を通じてファンになります。

この一連のプロセスを「旅」に見立てて可視化する手法が「カスタマージャーニー」です。本記事では、マーケティングの基本から、作成のポイントまでを解説します。

併せて、音声データをもとに議事録作成からその先のインサイト分析を行うインサイトアナリシス™「Front Agent」も紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.カスタマージャーニーとは何か?
    1. 1.1.フィリップ・コトラーの「5A」
  2. 2.マーケティングにおいてカスタマージャーニーが必要な理由
    1. 2.1.① タッチポイント(接点)の爆発的な増加
    2. 2.2.② 「モノ」から「コト(体験)」へのシフト
    3. 2.3.③ 組織のサイロ化の解消
  3. 3.カスタマージャーニーを作成する4つのメリット
    1. 3.1.1. 顧客視点の徹底
    2. 3.2.2. 優先順位の明確化
    3. 3.3.3. 一貫性のあるメッセージの発信
    4. 3.4.4. 真の課題(ペインポイント)の特定
  4. 4.カスタマージャーニーとペルソナの関連性
    1. 4.1.ペルソナはジャーニーの「主人公」
    2. 4.2.顧客の声(VoC)からペルソナを肉付けする
  5. 5.カスタマージャーニーマップの基本的な構成要素
    1. 5.1.【横軸:時系列】
    2. 5.2.【縦軸:顧客の体験要素】
  6. 6.カスタマージャーニーを作成・運用するポイント
    1. 6.1.① 「理想」と「現実」を明確に分ける
    2. 6.2.② チームでワークショップ形式で作る
    3. 6.3.③ 感情の「揺れ」を強調する
    4. 6.4.④ 定期的にメンテナンスする
  7. 7.顧客理解の精度を高める「声」の活用
  8. 8.カスタマージャーニーは最高の顧客体験を提供する大きな指針に
  9. 9.VoCから勝ち筋・インサイトを抽出するインサイトアナリシス™「Front Agent」
    1. 9.1.インサイトアナリシス™「Front Agent」の特徴
      1. 9.1.1.会話を“傾向”データ化し、インサイト抽出
      2. 9.1.2.インサイト発掘のサポートコンサルティング
      3. 9.1.3.どこでも、誰でもカンタンに使える
      4. 9.1.4.CRMやSFAなど既存ツールと連携できる

カスタマージャーニーとは何か?

カスタマージャーニー(Customer Journey)とは、顧客(ペルソナ)が、商品やサービスを認知してから検討・購入し、さらにその後の利用や再購入に至るまでのプロセスを時系列で捉えたものです。

これを図式化したものを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。単に「買うまでの流れ」を追うだけでなく、各ステップにおける顧客の「行動」「思考」「感情」「タッチポイント」を横断的に描き出すのが特徴です。

フィリップ・コトラーの「5A」

カスタマージャーニーという考え方が世界的に普及した背景には、現代マーケティングの父、フィリップ・コトラー氏の提唱した理論が深く関わっています。

かつてのマーケティングでは、「AIDA」や「AIDMA」といったモデルが主流でした。これらは「注意(Attention)→関心(Interest)→欲求(Desire)→記憶(Memory)→行動(Action)」という、企業から顧客への一方通行のプロセスを前提としていました。
しかし、インターネットとSNSの普及により、顧客の行動は劇的に変化しました。コトラーは著書『マーケティング4.0』において、デジタル時代の新たなカスタマージャーニーとして「5A」を提唱しました。

  1. Aware(認知): 知っている。過去の経験や広告、口コミからブランドを認識する。
  2. Appeal(訴求): 好きだ。いくつかのブランドの中から、自分に合うものに惹きつけられる。
  3. Ask(調査): 調べる。友人やSNS、比較サイトで情報を収集し、評価を確認する。
  4. Act(行動): 買う。購入し、使用し、アフターサービスを受ける。
  5. Advocate(推奨): 薦める。継続して利用し、他者にポジティブな口コミを発信する。

この「5A」の最大の特徴は、最後の「Advocate(推奨)」にあります。現代のカスタマージャーニーは「買って終わり」ではなく、顧客がファンとなり、新たな顧客を呼ぶ「循環型」の構造となっています。

マーケティングにおいてカスタマージャーニーが必要な理由

① タッチポイント(接点)の爆発的な増加

スマホが生活の一部となった今日、顧客は24時間365日、あらゆる場所で企業と接触します。

  • 検索エンジンでのリサーチ
  • SNS(Instagram, X, TikTokなど)での流し読み
  • YouTubeの動画広告
  • 比較サイトや口コミ掲示板
  • 実店舗での体験
  • アプリのプッシュ通知
  • カスタマーサポートとのチャット

これほど多様な接点が存在すると、企業側がすべてのプロセスをコントロールすることは不可能です。だからこそ、顧客がバラバラな接点をどのように回遊しているのか、全体像を俯瞰するカスタマージャーニーがなければ、効果的な投資ができなくなっています。

② 「モノ」から「コト(体験)」へのシフト

機能や価格だけで差別化することが困難な「コモディティ化」が進む中で、顧客が選ぶ基準は「どんな体験をさせてくれるか(CX)」へと移っています。 購入手続きの簡単さ、使い始めた時のワクワク感、困った時のサポートの速さ。これら「点」の体験が積み重なってブランド価値が形成されます。カスタマージャーニーを描くことは、この「体験の質」を設計することそのものなのです。

③ 組織のサイロ化の解消

大きな組織になればなるほど、マーケティング部門は「集客(認知)」、営業部門は「成約(行動)」、カスタマーサクセスは「継続(推奨)」と、KPIが分断されがちです。これを「サイロ化」と呼びます。 カスタマージャーニーという共通の地図を持つことで、部署を越えて「今、顧客はどのような心理状態にあるのか」「自分たちのバトンタッチに隙間はないか」を議論できるようになります。

カスタマージャーニーを作成する4つのメリット

1. 顧客視点の徹底

多くの企業は、無意識のうちに「自分たちが何を伝えたいか」を基準に施策を考えてしまいます。しかし、ジャーニーマップを作ると、「顧客がこの段階で何を不安に思っているか」という顧客視点で考えざるを得なくなります。この視点の転換が、ヒットするキャンペーンや使いやすいサービスを生む源泉になります。

2. 優先順位の明確化

限られた予算とリソースをどこに投入すべきか。ジャーニーマップによって「認知は取れているが、比較検討の段階で競合に流れている」といったボトルネックが可視化されれば、広告費を増やすよりも「比較コンテンツの充実」や「口コミの収集」に注力すべきだという判断が論理的に下せます。

3. 一貫性のあるメッセージの発信

認知段階で「手軽さ」を謳っているのに、購入後のサポートが「重厚で複雑」であれば、顧客は違和感を抱き、離脱の原因になります。ジャーニー全体を俯瞰することで、どの接点でも一貫したブランドイメージとメッセージを届けることが可能になります。

4. 真の課題(ペインポイント)の特定

顧客の声(VoC)をジャーニーマップにプロットしていくと、「このタイミングでいつも同じ不満が出ている」というパターンが見えてきます。単なるクレームとして処理していたものが、サービス全体の構造的な欠陥であったことに気づけるのは、時系列で顧客を追っているからこそです。

カスタマージャーニーとペルソナの関連性

カスタマージャーニーを作成する際、やってしまいがちな失敗は「平均的な顧客」をイメージして描いてしまうことです。ここで重要になるのが「ペルソナ」の存在です。

ペルソナはジャーニーの「主人公」

ペルソナとは、自社の商品・サービスを利用する最も象徴的な顧客像を具体化したものです。年齢、性別、職業といった属性だけでなく、価値観、ライフスタイル、抱えている悩み、ITリテラシーまでを詳細に設定します。
なぜペルソナが必要なのでしょうか。それは、「人によって行動に至る思考の仕方が違うから」です。 例えば、同じ「ノートパソコンを買う」という目的でも、
「最新技術に詳しく、スペックを重視するエンジニア」
「カフェでスマートに作業したい、デザイン重視のフリーランス」
では、情報の集め方も、重視するポイントも、購入の決め手も全く異なります。

顧客の声(VoC)からペルソナを肉付けする

ペルソナは想像で作ってはいけません。日々の業務で接する「顧客の声」を活用しましょう。

  • 営業担当がよく受ける質問は何ですか?
  • サポートに寄せられる「ありがとう」の理由は?
  • あるいは、検討段階で断られた理由は何ですか?

これらの実データを集約し、「〇〇という悩みを抱え、△△という言葉に反応するAさん」という血の通ったペルソナを設定することで、カスタマージャーニーは初めてリアリティを持ち、実効性のあるものになります。

ペルソナのマーケティングへの活用については、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。

カスタマージャーニーマップの基本的な構成要素

カスタマージャーニーマップの構成に厳密な決まりはありませんが、一般的には以下のフレームワークが使われます。

【横軸:時系列】

  1. 認知(Aware): 課題の自覚、ブランドとの出会い
  2. 訴求・検討(Appeal/Ask): 比較、自分に合うかの見極め
  3. 行動・購入(Act): 契約、決済、初期設定
  4. 利用・定着(Act/Ongoing): 日常的な利用、成果の実感
  5. 推奨(Advocate): 他者への紹介、アップセル・クロスセル

【縦軸:顧客の体験要素】

  1. 顧客の行動: 具体的に何をしているか(例:Googleで「SEO 対策」と検索する)
  2. タッチポイント: どこで接触しているか(例:自社ブログ、Xの広告)
  3. 思考・感情: 何を考え、どう感じているか(例:「難しそうだな」「これなら自分でもできそう!」)
  4. 課題・ペインポイント: つまずいている箇所(例:専門用語が多くて理解できない)
  5. 解決策(自社のアクション): 何を提供すべきか(例:用語解説ガイドを配布する)

カスタマージャーニーを作成・運用するポイント

① 「理想」と「現実」を明確に分ける

カスタマージャーニーには、現在の課題を洗い出すための「現状(As-Is)マップ」と、理想的な体験を描く「理想(To-Be)マップ」の2種類があります。 最初から「こう動いてほしい」という理想だけを描くと、現場の課題解決にはつながりません。まずは、データと顧客の声に基づいた「ファクト」を直視することから始めましょう。

② チームでワークショップ形式で作る

特定の担当者だけで作成するのではなく、営業・マーケティング・カスタマーサポート・開発など、異なる立場のメンバーが集まって作り上げることで、各部署がそれぞれに持つ「顧客の断片」をパズルのように統合できます。その結果、視野の抜け漏れがない、完成度の高いカスタマージャーニーが描かれます。

③ 感情の「揺れ」を強調する

ジャーニーマップにおいて、価値があるのは「感情の動き」の可視化です。「使いにくい」「返信が遅い」「期待外れだった」といったネガティブな感情が発生しているポイントこそ、最大の改善チャンスです。ここを埋める施策を打つだけで、顧客満足度は向上します。

④ 定期的にメンテナンスする

市場のトレンドや競合の動き、自社のアップデートによって、顧客の歩み方は常に変わります。一度作成したマップを「完成品」とせず、半年に一度、あるいは大きなプロジェクトの節目で見直す習慣をつけましょう。

顧客理解の精度を高める「声」の活用

カスタマージャーニーの精度は、どれだけ「質の高い顧客データ」をインプットできるかにかかっています。アンケート結果を眺めるだけでなく、実際の会話や行動ログから「インサイト(隠れた顧客の本音)」を抽出することが不可欠です。

特に、商談やサポート現場での「生の声」には、言葉にされない顧客の不安や喜びが隠されています。これらをテキスト化し、感情分析(ポジティブ・ネガティブの判定)や頻出キーワードの抽出を行うことで、ジャーニーマップの「感情」と「行動」の欄は一気に具体性を増します。

例えば、あるSaaS企業では、カスタマーサポートに届く「設定が難しい」という声のタイミングをジャーニーマップにプロットしたところ、特定の導入3日目に不満が集中していることを突き止めました。そこで3日目に自動でガイドメールを送るようにした結果、チャーンレートが劇的に改善したという事例があります。

カスタマージャーニーは最高の顧客体験を提供する大きな指針に

カスタマージャーニーを作成することは、自社の商品を選んでくれた顧客が、どのような背景を持ち、何を期待し、何に戸惑っているのかを考えるプロセスです。

「Front Agent」では、日々生まれる膨大な顧客とのコミュニケーションを音声データから可視化し、属人化しがちな顧客理解を組織の資産に変えるお手伝いをしています。顧客の声から導き出すインサイトをもとに、精緻なカスタマージャーニーを描き、最高の顧客体験を構築していきましょう。

VoCから勝ち筋・インサイトを抽出するインサイトアナリシス™「Front Agent」

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「顧客インサイトを事業に取り入れたいけど、データ収集や分析のリソースが足りない」とお悩みの方は、ぜひ一度「Front Agent」をチェックしてみてください。


インサイトアナリシス™「Front Agent」の特徴

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顧客と営業メンバーの会話の特徴を抽出。指定した顧客セグメントごとの特徴 / 共通点から、勝ち筋やインサイトをファクトに基づいて抽出

インサイト発掘のサポートコンサルティング

VoC活用に課題を感じている企業は多く、その主な理由として「集計や分析をするリソースが足りない」「収集や分析に時間がかかり活用するところまでいかない」が挙げられており、この課題を解決するための初期コンサルティングをセットに。

どこでも、誰でもカンタンに使える

営業現場は録音 / 録画ボタンを押すだけ。議事録作成からSFA / CRMへの連携まで全て自動化蓄積された議事録データからインサイトの抽出までをAIエージェントが支援。

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「Front Agent」は、既存のCRMやSFAシステムと連携することで、商談情報の一元管理と自動記録を実現します。活動記録やレポート作成といった事務作業に費やす時間を削減でき、より多くの時間をマーケティング戦略の立案や顧客との関係構築にあてることができます。 

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