
独自の強みを活かす「USP」とは? マーケティング・事業戦略に活かすためのポイントを紹介
独自の強みを活かす「USP」とは? マーケティング・事業戦略に活かすためのポイントを紹介
「良い製品なのに、競合他社に埋もれてしまう」
「広告を打っても、顧客の反応がいまひとつ得られない」
「結局、最後は価格競争になってしまう」
日々、顧客の声(VoC)を分析し、より良いサービスを提供しようと奮闘しているマーケターや営業企画、カスタマーサクセスの皆さまにとって、こうした悩みは尽きないものでしょう。
市場にモノや情報があふれる現代において、単に「品質が良い」だけでは、顧客に選ばれ続けることは難しくなっています。そこで改めて重要視されているのが、自社独自の価値を定義する「USP(Unique Selling Proposition)」です。
本記事では、USPの基本から、顧客のインサイトを突いたUSP設定のメリット、そして実務に活かせる成功事例を解説します。顧客の声を「会社の資産」から「強力な武器」へ変えるためのヒントとして、ぜひご活用ください。
併せて、音声データをもとに議事録作成からその先のインサイト分析を行うインサイトアナリシス™「Front Agent」も紹介します。
目次[非表示]
- 1.「USP(Unique Selling Proposition)」とは?
- 2.顧客インサイトがUSPを生み出す
- 3.顧客インサイトからUSPを設定する4つのメリット
- 4.【事例解説】インサイトを捉えたUSPの成功パターン
- 5.顧客の声を「USP」に昇華させる実践5ステップ
- 5.1.ステップ1:顧客の声の収集と分類
- 5.2.ステップ2:背後にある「インサイト」の抽出
- 5.3.ステップ3:3C分析による「勝てる領域」の特定
- 5.4.ステップ4:USPの言語化
- 5.5.ステップ5:テストとブラッシュアップ
- 6.USP策定におけるよくある「3つの罠」
- 7.USPが独自のマーケティング・事業戦略を正しい方向に導く
- 8.VoCから勝ち筋・インサイトを抽出するインサイトアナリシス™「Front Agent」
- 8.1.インサイトアナリシス™「Front Agent」の特徴
- 8.1.1.会話を“傾向”データ化し、インサイト抽出
- 8.1.2.インサイト発掘のサポートコンサルティング
- 8.1.3.どこでも、誰でもカンタンに使える
- 8.1.4.CRMやSFAなど既存ツールと連携できる
「USP(Unique Selling Proposition)」とは?
USP(Unique Selling Proposition)は、1940年代に広告の先駆者ロッサー・リーブスによって提唱された概念です。日本語では「独自の売りの提案」と訳されることが多いですが、その本質は「顧客があなたから買うべき、たった一つの理由」を明確に提示することにあります。
USPを構成するのは、以下の3つの要素です。
- Unique(独自性): 競合他社が提供できない、あるいは言及していない強み。
- Selling(売り): 顧客の行動を促すほど強力なメリット。
- Proposition(提案): 「もし私から買えば、あなたにこの利益を約束します」という宣言。
企業や商品・サービスには、それぞれ異なる強みがあります。価格に優れている場合もあれば、品質や機能性、デザイン、サポート体制、利便性に価値を見出されるケースもあります。
こうした強みが異なるため、USPに「これが正解」という決まりはありません。何をUSPとするかは、企業や商品・サービスごとに異なります。
USPは、商品やサービスを選んでもらうための重要な戦略要素であり、顧客に価値を分かりやすく伝える訴求メッセージとして活用されます。
なぜ今、USPが再注目されているのか
インターネットの普及により、顧客は瞬時に価格や機能を比較できるようになりました。情報の非対称性がなくなった現代では、機能の差(スペック差)はすぐに埋まってしまいます。
このような「コモディティ化」が進む中で、顧客は「どれを選んでも同じなら、安い方でいい」と考えがちです。この悪循環を断ち切り、指名買いを勝ち取るためには、機能を超えた「独自の価値提案(USP)」が不可欠なのです。
顧客インサイトがUSPを生み出す
USPを策定しようとすると、多くの企業が「自社の強みは何だろう?」と自社視点で考え始めてしまいます。しかし、それでは単なる「自画自賛」に終わり、顧客には響きません。
ここで重要になるのが顧客の声(VoC)をもとにした「インサイト」の視点です。
インサイトのないUSPは、ただの「特徴」
顧客の声を分析する際、表面的なニーズだけを拾ってUSPを作ると、競合他社と似通った「迅速・丁寧・高品質」といった抽象的な言葉に落ち着いてしまいます。
本当に強力なUSPは、顧客が「そうそう、それが言いたかったんだ!」「自分のことを分かってくれている!」と感じる無意識にあるインサイトを突いています。顧客の声を深く掘り下げ、言葉の裏側にある感情や背景を捉えることで、初めて他社には真似できない独自の提案が生まれるのです。
インサイトの調査方法については、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
顧客インサイトからUSPを設定する4つのメリット
顧客の声からインサイトを導き出し、それを軸にUSPを設定することには、ビジネス上の大きなメリットがあります。
① 競合他社との圧倒的な差別化
機能やスペックの競争は、資本力のある大手企業が有利です。しかし、特定の顧客層の深いインサイトに応えるUSPは、たとえ後発企業であっても市場に独自のポジションを築くことを可能にします。「○○の悩みなら、この会社が一番分かってくれる」という認識は、機能差を凌駕する強力な武器となります。
② マーケティングコストの劇的な最適化
USPが明確になると、「誰に何を伝えるか」が研ぎ澄まされます。 広告のキャッチコピー、Webサイトの構成、営業資料のメッセージが一本の軸でつながるため、ターゲットに届く精度が格段に上がります。結果として、無駄な広告費を削減し、獲得単価を抑えながら良質なリードを獲得できるようになります。
③ 営業・接客現場での「成約率」の向上
USPは現場の強力な武器になります。顧客から「他社と何が違うの?」と問われた際、スペックの比較表を見せるのではなく、「私たちは、お客様の××という不安を解消するために、○○を約束しています」と断言できるからです。この自信に満ちた「提案」が、顧客の意思決定を後押しします。
④ 社内判断基準の明確化とチームの結束
USPは対外的なメッセージであると同時に、社内の行動指針にもなります。「私たちの価値は○○である」という共通認識があれば、新機能の開発や顧客対応において、「それはUSPを強化するものか?」という基準で判断できるようになります。顧客の声を活かす部門と、製品を作る部門の足並みが揃いやすくなるのです。
【事例解説】インサイトを捉えたUSPの成功パターン
USPがどのようにビジネスを変えたのか。ビジネスシーンに応用できる事例を紹介します。
事例1:ドミノ・ピザ(不満というインサイトの解消)
- USP
「熱々の美味しいピザを30分以内にお届けします。間に合わなければ代金はいただきません」 - USPをつくったインサイト
当時のピザ宅配市場では「いつ届くかわからない」「届いた頃には冷めている」という強い不満がありました。 - ポイント
同社は「味の良さ」だけではなく「時間の確実性」というインサイトを活用し、それを「無料」という強力な約束(Proposition)で裏付けました。
事例2:FedEx(ビジネスの切実な不安への寄り添い)
- USP
「お客さまの大切なお荷物を、安全に、そして1日で確実にお届けします」 - USPをつくったインサイト
「荷物が遅れることは、ビジネス上の信頼を失うことだ」というビジネスパーソンの切実な恐怖心。 - ポイント
単なる「速達」ではなく、顧客の「絶対に失敗できない」という心理的重圧にフォーカスしたことが、BtoB配送における圧倒的なシェア獲得につながりました。
事例3:ダイソン(掃除機の当たり前を覆す)
- USP
「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」 - USPをつくったインサイト
「掃除機は、使っているうちにゴミが溜まり、吸い込みが悪くなるものだ」という、長年解決されなかった顧客の諦めに似た不満。 - ポイント
当時の掃除機市場では「価格」や「軽さ」の競争が主流でしたが、ダイソンは「吸引力の維持」という本質的な機能にフォーカスしました。顧客が半ば無視していた「紙パックが目詰まりして吸引力が落ちる」というストレス(インサイト)を特定し、それを「サイクロン技術」という独自の提案で解決した、製品起点USPの代表例です。
顧客の声を「USP」に昇華させる実践5ステップ
顧客の声を活かしてUSP策定を行うためのステップを紹介します。
ステップ1:顧客の声の収集と分類
まずは、手元にあるアンケート結果、商談ログ、カスタマーサポートへの問い合わせなどを集約します。
- 満足している点はどこか?
- 競合と比較して最後まで迷った点はどこか?
- 利用を止めてしまった理由(解約理由)は何か?
集約した顧客の声をAIツールなどで分析可能な形に変え、インサイト抽出へと進めます。
ステップ2:背後にある「インサイト」の抽出
集まった声に対して「なぜ?」を繰り返し、隠れていた本質を捉えてインサイトを可視化させてみましょう。
例:「操作が簡単で助かる」
→なぜ?:導入後の教育コストをかけたくないから
→なぜ?:現場が忙しく、新しいことを覚える余裕がないから
→なぜ?:本来の業務(商談など)に集中させ、早く成果を出させたいから
(インサイト):リーダーは、部下の教育に時間を奪われることに恐怖を感じている。
ステップ3:3C分析による「勝てる領域」の特定
3C分析を行い、3つのポイントが重なる場所を探します。
- Customer(顧客): ステップ2で見つけた深いインサイト。
- Competitor(競合): 他社がまだ解決できていない、あるいは気づいていない点。
- Company(自社): 自社のリソースや技術で、確実に約束できること。
3C分析に関しては、以下の記事でご紹介していますので参考にしてみてください。
ステップ4:USPの言語化
抽出した要素を、一言で伝わるフレーズに落とし込みます。
慣れるまでは、
「私たちのサービスは、[ターゲット]が抱える[インサイト]を、[独自の強み]によって解決し、[利益]をもたらすことを約束します」
というフレームワークに当てはめて考えることから始めてみましょう。
ステップ5:テストとブラッシュアップ
作成したUSPを、既存顧客や営業現場で試してみます。顧客の反応を確認し、より鋭いUSPへと磨き上げていきます。
USP策定におけるよくある「3つの罠」
USPを作る際、陥りがちな失敗についても触れておきます。
- 「何でもできます」という全方位対応
ターゲットを絞ることを恐れると、誰にも刺さらない凡庸なメッセージになります。USPは「捨てること」から始まります。 - 実態の伴わない「嘘」の提案
USPは顧客への「約束」です。現場が実行できない過度な期待を持たせると、一時的に売れても解約率の増加やブランド毀損を招きます。 - 一度作って満足してしまう
市場環境や顧客のインサイトは常に変化します。定期的に「このUSPはまだ顧客の心を動かせているのか?」を確認して、PDCAをまわす必要があります。
USPが独自のマーケティング・事業戦略を正しい方向に導く
USPは、単なるマーケティングの手法やキャッチコピーではありません。それは、日々顧客に向き合う企業にとって、顧客の苦しみや望みを深く理解し、「私たちは、あなたの力になれる唯一の存在です」と手を差し伸べる「顧客への約束」そのものであり、常に「顧客を誰よりも深く知ろうとする姿勢」を体現したものです。
日々の事業活動の中で集まる顧客の声(VoC)には、まだ競合他社が気づいていない、新しいUSPの種が隠れているはずです。そのために必要な顧客インサイトを発掘したいとお考えの場合は、ぜひインサイトアナリシス™「Front Agent」のご導入をご検討ください。
VoCから勝ち筋・インサイトを抽出するインサイトアナリシス™「Front Agent」
顧客の隠れた本音・意思決定する理由を可視化する「Front Agent」は、対面・Web会議・電話など、あらゆるVoCを自動で解析し、顧客の隠れた本音や意思決定の理由をファクトベースで可視化する「インサイト解析ツール」です。
商談時に録音・録画ボタンを押すだけでAIが議事録を作成し、SFAやCRMへのデータ連携も同時に完了します。さらに、蓄積されたVoCを元にインサイトを抽出し、「勝ち筋」や「顧客が本当に求めている価値」を導き出すことが可能です。
「顧客インサイトを事業に取り入れたいけど、データ収集や分析のリソースが足りない」とお悩みの方は、ぜひ一度「Front Agent」をチェックしてみてください。
インサイトアナリシス™「Front Agent」の特徴
会話を“傾向”データ化し、インサイト抽出
顧客と営業メンバーの会話の特徴を抽出。指定した顧客セグメントごとの特徴 / 共通点から、勝ち筋やインサイトをファクトに基づいて抽出。
インサイト発掘のサポートコンサルティング
VoC活用に課題を感じている企業は多く、その主な理由として「集計や分析をするリソースが足りない」「収集や分析に時間がかかり活用するところまでいかない」が挙げられており、この課題を解決するための初期コンサルティングをセットに。
どこでも、誰でもカンタンに使える
営業現場は録音 / 録画ボタンを押すだけ。議事録作成からSFA / CRMへの連携まで全て自動化。蓄積された議事録データからインサイトの抽出までをAIエージェントが支援。
CRMやSFAなど既存ツールと連携できる
「Front Agent」は、既存のCRMやSFAシステムと連携することで、商談情報の一元管理と自動記録を実現します。活動記録やレポート作成といった事務作業に費やす時間を削減でき、より多くの時間をマーケティング戦略の立案や顧客との関係構築にあてることができます。


