
カスハラ対策義務化への実践ガイド|現場を守る対応法を紹介【労働施策総合推進法改正】
カスハラ対策義務化への実践ガイド|現場を守る対応法を紹介【労働施策総合推進法改正】
労働施策総合推進法の改正によるカスハラ対策の義務化とは?
2025年(令和7年)の労働施策総合推進法改正により、企業には「カスタマーハラスメント(カスハラ)対策」が義務付けられます。事業主は、顧客等からの著しい迷惑行為から従業員を守るため、相談窓口の設置や被害者ケア、対応マニュアルの策定といった「雇用管理上の措置」を講じる必要があります。法改正の目的は、従業員の心身の健康と安全を守り、安定した就業環境を確保することにあります。
労働施策総合推進法の改正の詳細に関しては、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
基本方針の策定と周知
法改正で求められる「雇用管理上の措置」の根幹は、企業が「カスハラを容認しない」という明確なメッセージを明文化することです。
まずは、就業規則や社内規定に「カスタマーハラスメントの防止に関する規定」を追加しましょう。単に「ハラスメントはダメ」と書くのではなく、以下の要素を盛り込むのがポイントです。
- 対象範囲: 顧客、取引先、利用者など
- 禁止行為の具体例: 暴言、執拗な抗議、土下座の強要、SNSへの投稿など
- 会社としての姿勢: 「従業員の安全を最優先し、不当な要求には毅然と対応する」旨の宣言
「盾」としての外部発信
社内への周知だけでなく、公式サイトや店舗の受付、レジ周辺などに「カスタマーハラスメントに対する方針」を掲示することをお勧めします。これは単なる宣言ではなく、悪質な要求を思いとどまらせる「抑止力」として機能します。
目次[非表示]
- 1.労働施策総合推進法の改正によるカスハラ対策の義務化とは?
- 2.基本方針の策定と周知
- 3.「盾」としての外部発信
- 4.証拠を残すための「記録」のルール化
- 5.現場を迷わせない「対応マニュアル」の作り方
- 5.1.「正当なクレーム」を切り分ける3つの指標
- 5.2.エスカレーション・ルール
- 6.実務で役立つ「切り返し話法」とテクニック
- 7.被害を受けた従業員への「アフターケア」
- 8.対策の義務化を「強い組織」への転換点に
- 9.「顧客の声」を会社の資産に。インサイトアナリシス™「Front Agent」
- 9.1.インサイトアナリシス™「Front Agent」の特徴
- 9.1.1.どこでも、誰でもカンタンに使える
- 9.1.2.CRMやSFAなど既存ツールと連携できる
- 9.1.3.会話を“傾向”データ化し、インサイト抽出
- 9.1.4.インサイト発掘のサポートコンサルティング
証拠を残すための「記録」のルール化
法改正に伴い、企業は被害を受けた労働者を守るための事実確認が求められます。そのためには「証拠」が不可欠です。
- 録音・録画の活用
電話の全録音はもちろん、店頭でのトラブル時にボイスレコーダーを作動させる基準や方法を明確にします。 - 5W1Hの記録シート
誰が(Who)、いつ(When)、どこで(Where)、どのような言動を(What)、なぜ(Why)、どう対応したか(How)を即座にメモするフォーマットを用意し、組織で共有します。
今回の法改正に先立つ形で、東京都が「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(令和7年4月1日施行)」を制定しましたが、その一環として「録音・録画環境の整備」に奨励金を出すなど、その有用性と重要性を周知しています。
東京都における対応のポイントとしても、「カスタマーハラスメントを受けた当時の状況が録音・録画されたものを相談者とともに確認すると、より正確に状況を把握することができます。」としており、音声をいつでも活用可能な記録として残しておくことは、必要不可欠な環境整備となっています。
録音する際の注意点
原則として、トラブル防止・証拠保全という正当目的があり、 必要最小限の範囲で行われていれば、違法性は否定されやすいです。
東京都を中心に、各自治体においてもカスハラ対策として録音・録画を行うことは推奨されているため、会社を守るカスハラ対策として積極的に取り入れていきましょう。
ただし、
「品質向上およびトラブル防止のため録音しています」
などの事前アナウンスを行うことが望ましいです。無断録音はトラブルの火種になりやすくなります。
法的な観点でいえば、個人情報に該当するため情報管理の徹底が必要な点、プライバシー侵害・社会通念上相当性を欠く場合は大きな問題となりますので、この点は留意しましょう。
会話をビッグデータ化して会社の資産にする「Front Agent」
カスハラは「言った/言わない」といった感情論になりがちですが、「Front Agent」では顧客とのやりとりで得た録音データをもとに、会話を議事録として自動で記録・保存し、会社全体の資産化とすることができます。
日々のやりとりをFront Agent上に蓄積することで、トラブルの客観的証拠として活用できるだけでなく、対応の振り返りや改善にも役立てることが可能です。
過去の対応履歴や成功・失敗パターンも独自AIで分析可能なため、属人的な対応に依存しない一貫性のある対応基準を組織内でつくることができます。
カスハラ対策として、顧客とのやりとりを蓄積し、分析・利活用していきたいとお考えの場合は、ぜひインサイトアナリシス™「Front Agent」をご検討ください。
現場を迷わせない「対応マニュアル」の作り方
「正当なクレーム」を切り分ける3つの指標
現場が最も迷うのは「これはカスハラなのか、それとも真摯に対応すべきクレームなのか」という点です。マニュアルには、以下の指標を参考に判断するよう記載してください。
- 要求内容に妥当性はあるか?
例:商品が壊れている、欠品している等の事実はあるか - 要求を実現するための手段・態様は妥当か?
例:大声、脅迫、長時間の拘束、机を叩くなどの行為はないか - 社会通念上、許容される範囲内か?
例:常識的に考えて無理な金銭要求や、24時間以内の解決を迫るなどの無理難題ではないか
エスカレーション・ルール
現場の従業員が一人で抱え込まないよう、事態の深刻さに合わせた「エスカレーション・ルール」を定めます。一例として、下記のようなものがあります。
段階 | 状況の目安 | 対応アクション |
|---|---|---|
レベル1 | 同じ話を繰り返す、声が大きくなり始める | 「誠に恐縮ですが、大声を出すのはお控えいただけますか」と制止する。 |
レベル2 | 暴言が出る、制止を聞かない、30分以上の拘束 | 【重要】 担当者一人での対応を中止。上司に交代、または複数人での対応に切り替える。 |
レベル3 | 脅迫、暴力、不退去、執拗な謝罪強要 | 【中止】 「これ以上の対応は致しかねます」と告げ、退去を求める。応じない場合は警察へ通報。 |
実務で役立つ「切り返し話法」とテクニック
「義務化」への対応として、従業員教育を行う際、具体的な「言葉」を教えることが現場の安心感に繋がります。
「お詫び」と「謝罪」を使い分ける
初期対応では、不快な思いをさせたことへの限定謝罪に留めます。
〇(限定謝罪)
「お待たせしてしまい、申し訳ございません」「ご不快な思いをさせてしまい、心よりお詫び申し上げます」
×(全面謝罪)
「すべて私どもの責任です」「何でもご要望をお聞きします」
※事実確認前に全面的に非を認めると、その後の不当な要求を断りにくくなります。
「打ち切り」のフレーズを持っておく
対応が長時間に及び、平行線となった場合に使える「終了宣言」を用意しておきます。
- 「私どもとしてお伝えできることは以上でございます。これ以上同じお話を繰り返されるようでしたら、お電話を切らせていただきます(対応を終了させていただきます)」
- 「ここから先は責任者が対応いたします。本日はこれにて失礼いたします」
被害を受けた従業員への「アフターケア」
カスハラは、対応したその瞬間よりも、その後の「心の傷」が離職に直結します。法改正でも、このケアが重要な措置の一つとされています。
- 即時のメンタルフォロー
激しい攻撃を受けた従業員には、即座に休憩を与え、上司が「あなたの対応は間違っていなかった」とポジティブなフィードバックを行います。 - 相談窓口の周知
産業医や外部のカウンセリングサービスなど、社内の人には言いにくい悩みを吐き出せる場を提供します。 - 法的・組織的バックアップ
悪質なケースでは、会社が主体となって警察への被害届提出や、弁護士を通じた警告を行います。「最後は会社が守ってくれる」という信頼が、最強のカスハラ対策です。
対策の義務化を「強い組織」への転換点に
令和7年の「法改正」による「カスハラ対策の義務化」は、決して企業を縛るためのものではありません。むしろ、これまで曖昧だった「顧客対応の限界点」を明確にし、従業員が誇りを持って働ける環境を作るための「武器」になります。
マニュアルを整備し、組織的な対応フローを構築することは、良質なサービスを維持するための投資です。理不尽な顧客一人に振り回される時間を減らし、本当に大切にすべきお客様にエネルギーを注げる環境を整えましょう。
カスハラ対策に役立つ詳細資料もご用意しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
「顧客の声」を会社の資産に。インサイトアナリシス™「Front Agent」
顧客の隠れた本音・意思決定する理由を可視化する「Front Agent」は、対面・Web会議・電話など、あらゆるVoCを自動で解析し、顧客の隠れた本音や意思決定の理由をファクトベースで可視化する「インサイト解析ツール」です。
商談時に録音・録画ボタンを押すだけでAIが議事録を作成し、SFAやCRMへのデータ連携も同時に完了します。さらに、蓄積されたVoCを元にインサイトを抽出し、「勝ち筋」や「顧客が本当に求めている価値」を導き出すことが可能です。
「顧客インサイトを事業に取り入れたいけど、データ収集や分析のリソースが足りない」とお悩みの方は、ぜひ一度「Front Agent」をチェックしてみてください。
インサイトアナリシス™「Front Agent」の特徴
どこでも、誰でもカンタンに使える
操作は簡単で、録音 / 録画ボタンを押すだけ。議事録作成からSFA / CRMへの連携まで全て自動化。蓄積された議事録データからインサイトの抽出までをAIエージェントが支援。
CRMやSFAなど既存ツールと連携できる
「Front Agent」は、既存のCRMやSFAシステムと連携することで、顧客とのやりとりの一元管理と自動記録を実現します。活動記録やレポート作成といった事務作業に費やす時間を削減でき、より多くの時間を顧客との関係構築にあてることができます。
会話を“傾向”データ化し、インサイト抽出
顧客との会話の特徴を抽出。指定した顧客セグメントごとの特徴 / 共通点から、正しい対応方法やインサイトをファクトに基づいて抽出。
インサイト発掘のサポートコンサルティング
VoC活用に課題を感じている企業は多く、その主な理由として「集計や分析をするリソースが足りない」「収集や分析に時間がかかり活用するところまでいかない」が挙げられており、この課題を解決するための初期コンサルティングをセットに。


