
インサイトを活かすマーケティングフレームワークとは? 成果を生む5つの実践モデルを紹介
インサイトを活かすマーケティングフレームワークとは? 成果を生む5つの実践モデルを紹介
「なぜこの商品は思うように売れないのか」
「より効果的なプロモーションの方法はないのか」
マーケティングや企画に携わる方であれば、誰もが一度はこのような課題に直面したことがあるでしょう。顧客の声を収集しても、表面的な「ニーズ」しか見えず、施策が成果につながらない。その背景には、「顧客インサイト」を十分に捉えきれていないことが原因として考えられます。
そこ本記事では、顧客インサイトにまつわるフレームワークの実践モデルをご紹介。合せて、インサイト発掘をサポートするインサイトアナリシス™「Front Agent」もご紹介いたします。
目次[非表示]
- 1.顧客のインサイト把握がなぜ重要か? 「ニーズ」との決定的な違い
- 2.インサイト収集の壁とフレームワークの必要性
- 3.【収集・分析編】インサイトを見つけるためのフレームワーク3選
- 3.1.1. 共感マップ(Empathy Map)
- 3.2.2. ペルソナ設定
- 3.3.3.カスタマージャーニーマップ
- 4.【活用・企画編】インサイトを施策に活かすためのフレームワーク2選
- 5.インサイトを得るためのフレームワークを使いこなすためのステップ
- 6.フレームワークでインサイトを抽出して、論理的・効率的なマーケティング施策実行するために
- 7.インサイトアナリシス™「Front Agent」でマーケティング業務に変革を
- 7.1.インサイトアナリシス™「Front Agent」の特徴
- 7.1.1.会話を“傾向”データ化し、インサイト抽出
- 7.1.2.インサイト発掘のサポートコンサルティング
- 7.1.3.どこでも、誰でもカンタンに使える
- 7.1.4.CRMやSFAなど既存ツールと連携できる
- 8.「Front Agent」でインサイトを掘り起こし、「選ばれつづける会社へ」
顧客のインサイト把握がなぜ重要か? 「ニーズ」との決定的な違い
顧客が「もっと〇〇な機能が欲しい」と言語化できるのが「ニーズ」です。しかし、本当にヒットを生み出すのは、顧客自身も気づいていない「無意識の欲求」や「行動の真の動機」、すなわちインサイトです。
ニーズの例: 「もっとバッテリーが長持ちするスマートフォンが欲しい」
インサイトの例: 「バッテリー残量を気にせず、今のこの瞬間の出来事をSNSに投稿して、誰かと共有したい」
インサイトは、時に顧客の矛盾した行動や、言語化されない感情の裏側に潜んでいます。これを掴めば、競合にはない、心に響く独自の価値を提供できるようになります。
インサイト収集の壁とフレームワークの必要性
インサイト(Insight)とは、「洞察」や「本質を見抜く力」と訳されます。マーケティングにおいては、「顧客の行動を駆り立てている、深層心理にある未解決の動機」と定義されます。
これは、アンケートやヒアリングでストレートに質問しても返ってこないものです。顧客の行動や言動を観察し、その裏側を深く推察することで初めて見つけることができます。
しかし、「無意識の欲求」を個人の勘や感覚で探るのは困難です。そこで役立つのが、インサイトを論理的に、効率よく集め、活用するための「フレームワーク」です。
|フレームワークを使う3つのメリット
- 客観性の確保: 個人の直感や感覚ではなく、構造的な分析を通じてインサイトを導き出すため、チーム内外で納得感のある議論ができます。
- 共通言語化: チームメンバーが同じ手法(フレームワーク)で分析することで、インサイトに対する認識のズレを防ぎ、ブレない施策立案が可能になります。
- 網羅性の向上: 必要な要素を漏れなく洗い出し、多角的な視点からインサイトの種を収集できます。
【収集・分析編】インサイトを見つけるためのフレームワーク3選
まずは、顧客データや定性情報からインサイトの「種」を見つけるために有効なフレームワークを紹介します。
1. 共感マップ(Empathy Map)
顧客に「共感」し、その感情の機微を理解するためのフレームワークです。
要素 | 収集する情報 | インサイトへのつなげ方 |
|---|---|---|
Says (言う) | アンケートやインタビューでの発言(表層的なニーズ) | 言葉の裏にある本音を推察する |
Does (行動する) | 実際にとった行動、購買行動 | 言動と行動の矛盾点に注目する |
Thinks (考える) | 何を考えているか、抱える夢や目標 | 表面的な行動の動機を探る |
Feels (感じる) | 喜び、不安、恐れ、苛立ちといった感情 | 顧客のPain(痛み)やGain(利益)を深掘りする |
このマップを完成させることで、ペルソナの表面的な情報だけでなく、感情の裏側にある「真の動機」を推察し、インサイトとして仮説を立てることができます。
2. ペルソナ設定
インサイトは、特定の誰か一人の深い心理から生まれます。ペルソナ設定は、ターゲット顧客層を代表する「架空の人物像」を詳細に定義することで、分析の解像度を格段に高めるフレームワークです。
性別、年齢、職業、家族構成といった基本情報だけでなく、行動パターン、情報収集チャネル、業務上の目標、抱えるストレス(ペイン)などを、定量・定性データに基づいてリアリティを持って設定します
|インサイトへの繋げ方
ペルソナが「達成したい目標」と「直面しているペイン」を突き合わせることで、「目標を達成したいのに、ペインのせいで諦めている(妥協している)」という状況が浮き彫りになります。この「諦め」や「妥協」の裏側にある強い願望こそが、強力なインサイトの源泉となります。
例えば、「会議資料作成の自動化」(目標)をしたいのに、「古い社内システムを使う必要がある」(ペイン)というペルソナのインサイトは、「非効率な作業から解放され、自分の価値をもっと戦略的な仕事で発揮したい」という承認欲求や自己実現欲求である可能性が高まります。
3.カスタマージャーニーマップ
顧客が商品・サービスを認知してから購入・利用に至るまでのプロセス全体を時系列で可視化し、インサイトの発生源を特定するフレームワークです。
要素 | 収集する情報 | インサイトへのつなげ方 |
|---|---|---|
フェーズ | 認知、情報収集、比較検討、購入、利用など | 言葉の裏にある本音を推察する |
感情(Pain/Gain) | 各フェーズでの顧客の心理的な起伏 | 感情の急激な落ち込みや期待と現実のギャップに潜む未解決の不満(インサイト)を探る。 |
思考 | その行動をとった理由、感じた疑問や不安 | 顧客の頭の中で起こっていることを深掘りし、真の動機を推察する。 |
感情が大きくネガティブに動くポイント(Pain Point)は、顧客の「未解決の動機」が隠れている可能性が高く、インサイト発見の重要な手がかりとなります。
KFSが特定できたら、それを実現するための具体的な戦略オプションを立案します。
【活用・企画編】インサイトを施策に活かすためのフレームワーク2選
明確になったインサイトを、具体的な商品開発やマーケティング施策に結びつけるためのフレームワークを紹介します。
4. ジョブ・トゥ・ビー・ダン(Jobs To Be Done: JTBD)
要素 | インサイトとの連携 |
|---|---|
片付けたい仕事(Job) | インサイトを基に、顧客の「真の目的」として言語化する。 |
機能(Solution) | その仕事(Job)を片付けるための解決策を考える。 |
有名な例として、「顧客はドリルを買っているのではなく、壁に絵を飾るという『Job』を片付けたいのだ」というものがあります。インサイトが分かれば、ドリルを売るのではなく、もっと簡単に壁に固定できるフックを開発するという、別次元の企画が生まれます。
5. バリュー・プロポジション・キャンバス
顧客が求めている価値(Customer Profile)と、自社が提供する価値(Value Map)を効果的にマッチングさせるフレームワークです。
顧客側の項目(インサイト適用) | 自社側の項目(企画適用) |
|---|---|
ゲイン(得たい結果) | ゲイン・クリエイター(価値創出策) |
ペイン(不満・問題点) | ペイン・リリーバー(不満解消策) |
ジョブ(片付けたい仕事) | 製品・サービス |
インサイトを深く理解することで、顧客の「ペイン」と「ゲイン」がより深く具体的に特定できます。これにより、競合製品では解消できていない「ペイン」(例えば、使用時の不安や手間)に特化した「ペイン・リリーバー」を生み出し、強力なバリュー・プロポジション(提供価値)を構築できます。
インサイトを得るためのフレームワークを使いこなすためのステップ
Step 1: 目的の明確化とターゲットの特定
「解決したい課題」と、その課題を抱える「ターゲット(ペルソナ)」を明確に設定します。
Step 2: フレームワークの選択
課題に合わせて最適なフレームワークを選びます。
Step 3: データ収集と適用
定性調査(インタビュー、行動観察)や定量調査の結果を、選んだフレームワークに当てはめ、情報を整理し、インサイトの「種」を発見します。
Step 4: インサイトの言語化と検証
フレームワークで発見したインサイトの種を、以下の統一された文章で言語化します。
例:「〇〇(誰)は、〇〇(状況)において、〇〇(動機/本音)を感じている。」
この言語化されたインサイトを基に施策の仮説を立て、テストすることで、インサイトの確度と企画の成功率を高めていきます。
フレームワークでインサイトを抽出して、論理的・効率的なマーケティング施策実行するために
顧客の心を動かすインサイトは、個人の勘ではなく、フレームワークを使って論理的かつ客観的にアプローチできるものです。
本記事で紹介した5つの「インサイト フレームワーク」を、ぜひ日々の業務に取り入れてください。
フェーズ | フレームワーク |
|---|---|
インサイトの収集・分析 | 共感マップ、ペルソナ設定、カスタマージャーニーマップ |
企画・施策への応用 | JTBD、バリュー・プロポジション・キャンバス |
これらのツールを活用し、「顧客自身が気づいていない本音(インサイト)」を掴むことで、マーケティング施策や企画を成功に導きましょう。
インサイトアナリシス™「Front Agent」でマーケティング業務に変革を
Umee Technologiesのインサイトアナリシス™「Front Agent」は、対面、WEB会議、電話などあらゆる商談から得られた会話データを解析し、顧客の隠れた本音や施策の意思決定理由を可視化するインサイト解析ツールです。これにより、マーケティング戦略や各種フレームワークへの実践的な活用が可能となり、顧客理解に基づいた意思決定や施策設計をより精度高く行うことができます。
インサイトアナリシス™「Front Agent」の特徴
会話を“傾向”データ化し、インサイト抽出
顧客と営業メンバーの会話の特徴を抽出。指定した顧客セグメントごとの特徴 / 共通点から、勝ち筋やインサイトをファクトに基づいて抽出。
インサイト発掘のサポートコンサルティング
VoC活用に課題を感じている企業は多く、その主な理由として「集計や分析をするリソースが足りない」「収集や分析に時間がかかり活用するところまでいかない」が挙げられており、この課題を解決するための初期コンサルティングをセットに。
どこでも、誰でもカンタンに使える
営業現場は録音 / 録画ボタンを押すだけ。議事録作成からSFA / CRMへの連携まで全て自動化。蓄積された議事録データからインサイトの抽出までをAIエージェントが支援。
CRMやSFAなど既存ツールと連携できる
「Front Agent」は、既存のCRMやSFAシステムと連携することで、商談情報の一元管理と自動記録を実現します。活動記録やレポート作成といった事務作業に費やす時間を削減でき、より多くの時間をマーケティング戦略の立案や顧客との関係構築にあてることができます。
「Front Agent」でインサイトを掘り起こし、「選ばれつづける会社へ」
市場の変化が激しい現代において、顧客・競合・自社を正しく捉えるためのフレームワークは、「選ばれつづける会社」になるために欠かせません。しかし、フレームワークの基礎となる市場・顧客・競合に関する情報は、組織内に点在しており、マーケティングや企画の現場で十分に活用されていないのが実情です。
「Front Agent」は、商談などの会話データを解析し、自社の強みや勝ち筋、競合との差異化要因をファクトデータから導き出すインサイトアナリシス™です。
属人的な判断に頼らず、データドリブンに基づいた再現性の高いフレームワーク活用体制の構築を支援するパートナーとして、導入を検討してみてはいかがでしょうか。


