
顧客エンゲージメントを高める方法とは? 基礎知識から具体的な手法を一挙紹介!
顧客エンゲージメントを高める方法とは? 基礎知識から具体的な手法を一挙紹介!
多くのリソースを投じて新規顧客獲得に取り組んでいるのに、思うような成果に結びつかない——。その理由がつかめず、改善の糸口を見いだせないまま、停滞感を抱えてはいないでしょうか。その背景には、「量」の最大化を目指す従来型のマーケティングから、「質」を重視した継続的な関係構築へと、戦略の軸足を移せていないことがあるのかもしれません。
いま、顧客エンゲージメントは短期的な売上創出を超え、LTVの最大化を左右する最重要戦略として注目を集めています。
本記事では、顧客エンゲージメントを高めることの必要性や得られるメリットを紹介し、インサイトを活用した実践的なアプローチを解説します。
さらに、音声データから議事録作成だけでなく深い顧客インサイトまで導き出す、インサイトアナリシス™「Front Agent」についても紹介します。
目次[非表示]
- 1.顧客エンゲージメントとは?
- 2.顧客エンゲージメントを高める必要性とメリット
- 2.1.1. 収益性の向上とLTVの最大化
- 2.1.1.リピート・継続利用の増加
- 2.1.2.アップセル・クロスセルの機会創出
- 2.2.2. コストの削減とマーケティング効率の改善
- 2.2.1.ROIの改善
- 2.2.2.カスタマーサポートコストの削減
- 2.3.3. ブランドの強化と口コミ(UGC)の促進
- 3.顧客エンゲージメントを高めるための3ステップ
- 3.1.ステップ1:顧客インサイトの深掘りと活用
- 3.1.1.インサイトの取得方法と具体的な活用法
- 3.2.ステップ2:パーソナライズされたコミュニケーションの最適化
- 3.2.1.顧客の状況に合わせたトリガー型コミュニケーション
- 3.2.2.顧客ロイヤルティに基づいたセグメント別体験の提供
- 3.3.ステップ3:CX(顧客体験)のデジタル化と接点の整備
- 3.3.1.コミュニケーションチャネルの統合(オムニチャネル化)
- 3.3.2.サポート体験の自己解決促進と高速化
- 4.インサイトを起点としたエンゲージメント施策を
- 5.商談の会話データから勝ち筋・インサイトを抽出するインサイトアナリシス™「Front Agent」
- 5.1.インサイトアナリシス™「Front Agent」の特徴
- 5.1.1.会話を“傾向”データ化し、インサイト抽出
- 5.1.2.インサイト発掘のサポートコンサルティング
- 5.1.3.どこでも、誰でもカンタンに使える
- 5.1.4.CRMやSFAなど既存ツールと連携できる
- 6.顧客エンゲージメントを高めるのに役立つ記事紹介
顧客エンゲージメントとは?
顧客エンゲージメントとは、顧客と企業(ブランド、製品、サービス)との間に存在する、継続的な関わりと、それによって生まれる感情的な結びつきや愛着の度合いを指します。
これは単なる「顧客満足度(CS)」とは異なります。
- 顧客満足度(CS)
サービスや製品に対して「満足した」という一過性の評価です。 - 顧客エンゲージメント
満足に加え、「このブランドが好きだ」「これからも使い続けたい」「誰かに教えたい」といった積極的な感情と、行動を伴う継続的な関係性を意味します。
エンゲージメントの高い顧客は、単なる購入者にとどまらず、ブランドの熱心なファンとして自発的にフィードバックや口コミを発信してくれる存在です。その結果、自然とリピーターが増え、解約率も低下します。安定的な収益基盤を築くうえで、こうした顧客はますます欠かせない存在になっています。
顧客エンゲージメントを高める必要性とメリット
商品やサービスのコモディティ化が進む現代において、顧客エンゲージメントは企業の競争優位性を左右する最重要指標です。
1. 収益性の向上とLTVの最大化
リピート・継続利用の増加
エンゲージメントが高い顧客は、自社ブランドへの愛着や信頼が強固なため、競合他社へ乗り換える可能性が極めて低くなります。これは、サブスクリプション型ビジネスにおいては「チャーンレート(解約率)の低減」に直結します。LTVは、平均購買単価と購入頻度、継続期間によって決定されますが、エンゲージメントはこの継続期間を引き延ばします。
アップセル・クロスセルの機会創出
単なる「取引」ではなく「信頼関係」が構築されているため、新製品や上位プランを提案した際の成約率が高くなります。顧客は、機能比較表を見て冷静に判断するだけでなく、「この企業の提案なら自分にとって価値があるだろう」という感情的なロイヤルティに基づいて購入を決定するため、結果的にLTVが最大化されます。
2. コストの削減とマーケティング効率の改善
ROIの改善
既存顧客を維持するコストは、一般的に新規顧客を獲得するコストの5分の1以下と言われています。エンゲージメント戦略は、既存顧客の維持に焦点を当てるため、結果としてマーケティングのROIを大きく改善します。
カスタマーサポートコストの削減
エンゲージメントの高い顧客は、自社の製品やサービスに対する理解度が高く、FAQやナレッジベースを活用して軽微な問題は自己解決する傾向があります。これにより、サポート窓口への問い合わせ頻度が減少し、サポート部門のコストと工数を削減できます。
3. ブランドの強化と口コミ(UGC)の促進
高いエンゲージメントを持つ顧客は、自社のファンとなります。彼らは、企業に依頼されるまでもなく、SNSや口コミサイトで積極的にブランドを推奨し、ポジティブなUGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)を創出します。この信頼性の高い口コミは、広告よりも強力な新規顧客獲得チャネルとなります。
顧客エンゲージメントを高めるための3ステップ
顧客エンゲージメントを高めるための施策は、主に「顧客インサイトの把握」「最適なコミュニケーション」「CX(顧客体験)の向上」の3つのフェーズで具体化されます。
ステップ1:顧客インサイトの深掘りと活用
施策の成否は、顧客インサイトの深さに集約されます。単なるデモグラフィック(年齢、性別など)や購入履歴といった「表面的なデータ」ではなく、顧客が「本当に求めていること」や「感情的な動機」をデータから読み取るプロセスが不可欠です。
インサイトの取得方法と具体的な活用法
|VoC分析
活用法:商談、サポート履歴、チャットログ、SNSから、頻出するネガティブなキーワード(例:料金体系が分かりにくい、〇〇機能がない)を抽出。これらをプロダクト改善の最優先事項やFAQの穴を埋めるコンテンツの作成に直結させ、自己解決率を高める。
|NPS調査
活用法:「推奨者(ファン)」と「批判者」のコメントを詳細に分析。「なぜ推奨するのか」というエンゲージメントの源泉を特定し、その要素を強化する施策(例:ロイヤルユーザー限定イベント)を実施する。
|カスタマージャーニーマップの更新
活用法:各タッチポイントでの顧客の「感情の動き」(Pain/Gain)を可視化。特に感情が落ち込んでいるフェーズ(Pain Point)に対し、改善施策(例:操作チュートリアル動画)を組み込み、ストレスを軽減するアクションに直結させる。
|行動ログ分析
活用法:サイトの「熟読率」「離脱ページ」「検索キーワード」を分析。熟読率が高いコンテンツをエンゲージメント向上に貢献するコンテンツとみなし、類似コンテンツを拡充する。逆に離脱が多いページの原因を特定し、UI/UXの改善を行う。
インサイトの取得・分析方法については、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
ステップ2:パーソナライズされたコミュニケーションの最適化
インサイトに基づいて、顧客を細かくセグメント化し、「あなただけ」に向けた情報提供を行うことで、エンゲージメントが向上します。
顧客の状況に合わせたトリガー型コミュニケーション
顧客の特定の行動をトリガーとして、最適なタイミングで情報を提供する仕組みを構築します。
- オンボーディングの促進
サービス登録後、最初の3日間で特定の重要アクション(例:プロフィール登録、初回検索)を完了していない顧客に対し、成功事例を交えたチュートリアルメールを自動送信し、初期の離脱を防ぎます。 - 利用状況に応じたプッシュ通知/メール
「過去30日間で〇〇機能を利用していない」セグメントに対し、その機能の最新の活用事例や、競合他社の乗り換えを防ぐためのメリットを再訴求するコンテンツを送る。 - イベントトリガー
サービス内の「ヘルプ」ボタンをクリックした直後など、顧客が困っていると推測される瞬間に、関連するFAQ記事へのリンクをチャットウィンドウで自動表示する。
顧客ロイヤルティに基づいたセグメント別体験の提供
LTVや利用頻度などで顧客をセグメント化し、提供する体験の質を変えます。
- エンゲージメントが高い層向け
例)新機能のβテストへの優先招待、担当者からの個別御礼メール、またはシークレットなコミュニティへの招待など、金銭的価値以上の特別感のある体験を提供し、顧客のファンとしての活動をさらに強化します。 - エンゲージメントが低い層向け
例)最後に利用した日から45日以上経過した顧客に対し、短時間のアンケートを実施し、離脱の要因を直接尋ねる。これにより、企業側に問題があった場合は迅速なリカバリーが可能になります。
ステップ3:CX(顧客体験)のデジタル化と接点の整備
顧客が製品・サービスを利用するすべてのタッチポイントで、一貫性があり、ストレスのない体験を提供することが、エンゲージメント維持の基盤となります。
コミュニケーションチャネルの統合(オムニチャネル化)
顧客が電話、チャット、メール、SNSのどのチャネルから問い合わせても、企業側で過去のやり取り、購入履歴、利用状況が共有されている状態を構築します。これにより、「また一から説明しなければならない」という顧客の最大のストレスを排除し、シームレスな体験を提供します。
サポート体験の自己解決促進と高速化
サポート窓口に問い合わせる前に、顧客が自分で問題を迅速に解決できる環境を整えることは、エンゲージメントを高める上での最重要項目です。
- ナレッジベース/FAQの拡充
ステップ1で得たインサイトに基づき、「顧客がどのような言葉で検索しているか」を考慮したキーワード設定を行い、検索性の高い、質の高いFAQコンテンツを作成・維持します。 - 自発的な情報提供
ログイン後のダッシュボードなどに、「現在発生しているシステム障害」「〇〇に関するよくある質問トップ5」など、顧客が探し始める前に必要な情報を企業側から積極的に提供します。 - AIチャットボットの導入
複雑ではない定型的な質問(例:パスワードを忘れた、営業時間)には、24時間365日即座に回答できるAIチャットボットを導入し、顧客の「待たされるストレス」を解消します。これにより、サポート担当者はより複雑でエンゲージメントに深く関わる顧客対応に集中できるようになります。
インサイトを起点としたエンゲージメント施策を
事業戦略やマーケティング施策における「成果の壁」は、顧客エンゲージメントの強化によって打破できる可能性はとても高いです。重要なのは、抽象的な理想論ではなく、顧客インサイトという確固たる事実を起点とした、具体的な戦略・施策実行です。
- インサイトの深掘り: VoC分析や行動ログから「なぜ」を読み解く。
- パーソナライズ: インサイトに基づき、トリガー型で最適なコンテンツを提供する。
- CXの整備: ストレスのないチャネル統合と自己解決環境を提供する。
この3つのステップを着実に実行することで、顧客は企業への信頼を深め、エンゲージメントは向上し、結果としてLTVの最大化と安定的な収益基盤の構築へと繋がります。
商談の会話データから勝ち筋・インサイトを抽出するインサイトアナリシス™「Front Agent」
顧客の隠れた本音・意思決定する理由を可視化する「Front Agent」は、対面・Web会議・電話など、あらゆる商談データを自動で解析し、顧客の隠れた本音や意思決定の理由をファクトベースで可視化する「インサイト解析ツール」です。
商談時に録音・録画ボタンを押すだけでAIが議事録を作成し、SFAやCRMへのデータ連携も同時に完了します。さらに、蓄積された商談データを元にインサイトを抽出し、「勝ち筋」や「顧客が本当に求めている価値」を導き出すことが可能です。
「顧客インサイトを事業に取り入れたいけど、データ収集や分析のリソースが足りない」とお悩みの方は、ぜひ一度「Front Agent」をチェックしてみてください。
インサイトアナリシス™「Front Agent」の特徴
会話を“傾向”データ化し、インサイト抽出
顧客と営業メンバーの会話の特徴を抽出。指定した顧客セグメントごとの特徴 / 共通点から、勝ち筋やインサイトをファクトに基づいて抽出。
インサイト発掘のサポートコンサルティング
VoC活用に課題を感じている企業は多く、その主な理由として「集計や分析をするリソースが足りない」「収集や分析に時間がかかり活用するところまでいかない」が挙げられており、この課題を解決するための初期コンサルティングをセットに。
どこでも、誰でもカンタンに使える
営業現場は録音 / 録画ボタンを押すだけ。議事録作成からSFA / CRMへの連携まで全て自動化。蓄積された議事録データからインサイトの抽出までをAIエージェントが支援。
CRMやSFAなど既存ツールと連携できる
「Front Agent」は、既存のCRMやSFAシステムと連携することで、商談情報の一元管理と自動記録を実現します。活動記録やレポート作成といった事務作業に費やす時間を削減でき、より多くの時間をマーケティング戦略の立案や顧客との関係構築にあてることができます。


