catch-img

顧客から選ばれる広告の作り方とは? インサイトを起点としたマーケティング手法を紹介

顧客から選ばれる広告の作り方とは? インサイトを起点としたマーケティング手法を紹介

「CVRは改善したのに、リピート購入率が伸びない」「毎月新しい施策を試しているが、LTVが頭打ちになっている」

マーケティング業務に携わっていると、日々このようなジレンマと向き合っているのではないでしょうか。Web広告やMAツールを駆使し、データに基づいた施策を実行しているにもかかわらず、事業成長が進まない。その根本的な原因は、顧客の「表面的なニーズ」を捉えているだけで、顧客自身も意識していない「インサイト(無意識下の本音」を見落としていることにあるかもしれません。

表面的なニーズに基づいた施策は、短期的なCVR向上には貢献します。しかし、それは一時的な「対症療法」に過ぎません。顧客を満足させ、ブランドへの愛着を生み出し、長期的な利益をもたらすLTVの最大化を目指すには、顧客の無意識下の本音、すなわちインサイトを深く理解し、広告や販促活動に反映させる必要があります。

本記事では、このインサイトをどのように発見し、成果に直結する広告・販促施策へ落とし込むのか、具体的な手法を解説します。

併せて、音声データをもとに議事録作成からその先のインサイト発掘を行うインサイトアナリシス™「Front Agent」も紹介します。

成果を出すために必要な顧客理解の深さ

私たちが「顧客のニーズ」と呼んでいるものの多くは、氷山の一角である「顕在ニーズ」に過ぎません。

ニーズとインサイトの違い

ニーズとは、顧客が自覚し、言葉にできる表面的な要求です。

例:「時間を節約したいから、調理済みの冷凍食品を買いたい」「機能が多いビジネスツールが欲しい」

これに対しインサイトとは、顧客自身も気づいていない、その行動や欲求の裏側にある無意識下の動機や本音です。

:「高機能な高級ドライヤーが欲しい(顕在ニーズ)」の裏側にあるインサイト → 「年齢による髪の悩みを誰にも気づかれたくない。毎日のケアで『まだ若々しい』という自信を密かに保ちたい」

:「環境に配慮したオーガニック食品を買いたい(顕在ニーズ)」の裏側にあるインサイ → 「自分だけでなく、未来の子供たちの世代にも貢献するという、社会的な責任を果たしている感覚を得たい」

インサイトは、時に非合理的で感情的な要素を含みます。マーケティングがこのインサイトに焦点を当てることで、単なる「商品の機能」の訴求から、「顧客の感情を満たす価値」の提供へとシフトできます。このシフトこそが、顧客体験の質を向上させ、競合他社には乗り換えられない強固なロイヤリティを構築し、結果的にLTV向上という形で成果をもたらすのです。

広告で使えるインサイトを発掘するための3つの方法

1. 定量データに深掘りを入れる「ヒートマップ分析」

Webサイトのアクセス解析は、どこから流入し、どこで離脱したかという「結果」を示します。しかし、ヒートマップ分析は、ユーザーがページ内で「何に意識を向け、何をしようとしたか」という無意識の行動を可視化します。

  • インサイト発見のための着眼点

    熟読エリアの偏り
    コンテンツの大部分が流し読みされている中で、ある特定の見出しや画像にだけ滞在時間が集中している箇所はないか?
    インサイト:ユーザーは、その部分に書かれている「特定の情報(例:価格、事例、保証)」を特に求めている。

    誤クリックの発生
    ボタンではないテキストや画像をユーザーが頻繁にクリックしようとしていませんか?
    インサイト:ユーザーは、そのテキストがリンク(より詳細な情報)であると期待した。既存のLPでは情報量が不足しており、深掘りを求めているという不満。

ヒートマップで「意図しない行動」を発見し、その行動の裏にある「ユーザーの期待」や「情報への飢え」を読み取ることが、インサイト発掘の第一歩です。

2. 顧客の「声」から本音を導き出す「ボイスマイニング/テキストマイニング」

コールセンターの通話記録、チャットサポートの履歴、レビュー、アンケートの自由記述欄には、顧客の生々しい感情と本音が詰まっています。これらをAIや専門ツールで解析することで、定量データでは見えないインサイトを抽出します。

  • ネガティブな感情と結びつくキーワード
    「不満」「面倒」「不安」といった感情に関する言葉と共に、頻繁に言及されるプロダクトやサービスに関連しないキーワード(例:「手続き」「待ち時間」「他社のサービス」)はありませんか?
    インサイト:プロダクトの機能性自体には満足しているが、「利用に至るまでのプロセスやサポート体制」に大きなストレスを感じている。「手軽さ」や「安心感」を重視しているというインサイト。

  • 競合言及時の「意外な」メリット
    競合他社と比較している顧客が、機能や価格ではなく、「なんとなく信頼できる」「使っている人が多いから安心」といった抽象的な理由を挙げていませんか?
    インサイト:顧客は、「間違いない選択をしている」という安心感や「周りと同じものを選ぶことによるリスク回避」を強く求めている。

特にネガティブな言葉の裏側には、満たされていない強烈な欲求が隠れています。その欲求こそ、最も強力なインサイトとなり得ます。

3. ターゲット層を深く理解する「ペルソナ再構築」

ペルソナは、インサイトを反映させてこそ生きた顧客像となります。既存のペルソナが「趣味:ゴルフ」「役職:部長」といった属性情報で終わっていないかを確認し、インサイトベースで再構築します。

インサイト発見のための着眼点

  • 「Why」の深掘り
    「なぜ、私たちの製品/サービスを選ぶのか?」という問いを、「その製品を使うことで、彼は誰からどう見られたいのか?」「仕事上の成功において、彼が最も恐れていることは何か?」という感情的な側面に掘り下げます。
  • 行動の動機(価値観)を明確にする
    単なる「費用対効果が良い」というニーズの裏に、「上司から提案を褒められたい」「自分の決定で会社に貢献したい」といった、自己承認欲求や責任感が隠れていないか分析します。

インサイトを組み込んだペルソナは、広告のキャッチコピーやクリエイティブ作成時、「このメッセージは、あのペルソナの無意識の本音に響くか?」という判断基準として機能します。

インサイトの調査方法、分析方法については、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。

インサイトを「刺さる」メッセージに変える具体例

発掘したインサイトは、具体的な広告クリエイティブやLP(ランディングページ)の構成に落とし込むことで、大きな効果を発揮します。

1. 広告クリエイティブへの応用:顧客の無意識に語りかける

インサイトを訴求する最大のメリットは、競合が表面的な機能競争に終始する中で、顧客の感情に直接語りかけられる点です。

(例1)「忙しい自分を褒めてあげたい」(自己肯定欲)
顕在ニーズを訴求した広告の例:「1日30分のスキマ時間で英語学習」
インサイトを訴求した広告の例:「頑張るあなたへのご褒美。自己投資で自信をチャージ」

(例2)「失敗して周囲に迷惑をかけたくない」(不安・防衛本能)
顕在ニーズを訴求した広告の例:「導入実績No.1のビジネスツール」
インサイトを訴求した広告の例:「失敗が許されないあなたのための、堅実なデータ保証ツール」

(例3)「実は他社製品に乗り換えるのが面倒」(現状維持バイアス)
顕在ニーズを訴求した広告の例:「機能比較で優位なA社製品」
インサイトを訴求した広告の例:「今のツールをそのままに。乗り換え不要で即日導入できるアドオンサービス」

インサイトベースのメッセージは、顧客の頭の中で「これは自分のためのメッセージだ」という強い共感を生み出します。

2. LP・販促コンテンツへの応用:共感から購買へ導く

LPや販促資料の構成は、インサイトを基に「共感 → 解決 → 行動」のフローを強化します。

  • 共感(課題提起)
    LPの導入部で、インサイト(無意識下の悩みや願望)を具体的な言葉で表現します。
    例:「あなたはもしかして、”機能性”ではなく、”上司に良い提案者だと思われたい”というプレッシャーの中でツールを選んでいませんか?」

  • インサイトへの言及(なぜ今すぐ解決すべきか)
    そのインサイトが満たされない場合に生じる「未来の不利益」を提示します。(例:”不安を抱えたまま導入すると、結局使いこなせず、かえって評価を下げてしまうリスクがあります”)

  • 解決策(サービスの提示)
    サービスの機能を、インサイトを満たすための手段として提示します。
    例:当社のツールは、「失敗しないための安心感」を提供するために、〇〇という機能で徹底的にリスクを排除しています。

この構成は、単に機能を羅列するよりも、顧客の購買意欲の根源に訴えかけるため、最終的なCVRとLTVの両方を高めます。

「マーケティング」から「インサイトマーケティング」への転換

今日のマーケティングにおいて、「何を知っているか」よりも「いかに顧客の無意識を深く理解しているか」が競争優位の源泉となります。

表面的なニーズを追う「対症療法」から、インサイトを起点とした「根本治療」へとマーケティングを転換させることこそが、LTVの最大化と持続的な事業成長に不可欠です。

データ分析する際は「クリック数や離脱率の結果」だけでなく、「その結果から導かれる顧客の無意識下の期待や不安」を抽出するよう、インサイト発掘のアクションを導入していくことは重要な視点となります。

これまでの「マーケティング」から「インサイトマーケティング」への転換は、マーケティング活動を、真に成果を生み出すステージへと引き上げます。

商談の会話データから勝ち筋・インサイトを抽出するインサイトアナリシス™「Front Agent」

顧客の隠れた本音・意思決定する理由を可視化する「Front Agent」は、対面・Web会議・電話など、あらゆる商談データを自動で解析し、顧客の隠れた本音や意思決定の理由をファクトベースで可視化する「インサイト解析ツール」です。

商談時に録音・録画ボタンを押すだけでAIが議事録を作成し、SFAやCRMへのデータ連携も同時に完了します。さらに、蓄積された商談データを元にインサイトを抽出し、「勝ち筋」や「顧客が本当に求めている価値」を導き出すことが可能です。

「顧客インサイトを事業に取り入れたいけど、データ収集や分析のリソースが足りない」とお悩みの方は、ぜひ一度「Front Agent」をチェックしてみてください。


インサイトアナリシス™「Front Agent」の特徴

会話を“傾向”データ化し、インサイト抽出

顧客と営業メンバーの会話の特徴を抽出。指定した顧客セグメントごとの特徴 / 共通点から、勝ち筋やインサイトをファクトに基づいて抽出

インサイト発掘のサポートコンサルティング

VoC活用に課題を感じている企業は多く、その主な理由として「集計や分析をするリソースが足りない」「収集や分析に時間がかかり活用するところまでいかない」が挙げられており、この課題を解決するための初期コンサルティングをセットに。

どこでも、誰でもカンタンに使える

営業現場は録音 / 録画ボタンを押すだけ。議事録作成からSFA / CRMへの連携まで全て自動化蓄積された議事録データからインサイトの抽出までをAIエージェントが支援。

CRMやSFAなど既存ツールと連携できる

「Front Agent」は、既存のCRMやSFAシステムと連携することで、商談情報の一元管理と自動記録を実現します。活動記録やレポート作成といった事務作業に費やす時間を削減でき、より多くの時間をマーケティング戦略の立案や顧客との関係構築にあてることができます。 

インサイトマーケティングに関するお役立ち記事紹介

人気記事ランキング

タグ一覧